おやすみ

 ザン ザン ザン


 岩礁に波の砕ける音と


 クゥ クゥ クゥ


 腕の中で眠るネコの寝息と


 耳に心地よく

 それでもきょうはいろいろありすぎて、まだふわふわした感覚のまま、微睡はこない。


 「いたっ、」

 ピリピリ、陽に焼けすぎた腿が、布団に擦れるたびに痛い。

 「っ、」

 背中の、腕の、筋肉痛が、身じろぐたびに痛い。


 いたい…


 いた、


 なにをやってんだろう、ぼくは。


 なにやってんだろ、

 陽に焼けたのも、

 筋肉痛なんてのも、

 いつぶりだろう。


 なにをやってるんだろう、

 ぼくは。


 「ふ、」


 思わず、口元が緩んでひとり、笑う。

 自然と、口から漏れる。

 応えるようにネコがぼくのシャツの胸を掴む。

 薬がやっと効いてきたのか、


 ザン ザン ザン


 岩礁に波の砕ける音と


 クゥ クゥ クゥ


 腕の中で眠るネコの寝息と


 耳に心地よく、


 ようやく降りてきたまどろみに、ぼくは目を閉じた。

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