第32話 召喚獣?

「ありがとね」

 とお礼を言うと、2体は嬉しそうに体を震わせて、語りかけてきた。


「普通は、召喚されると、使い捨ての駒のような扱いをされると覚悟していたが、私たちの身を案じてステータスアップをかけてくれて、しかも一緒に火の海に飛び込んでくれた。」


「こんな嬉しい扱いを受けるとは思ってもいませんでした。」


「是非専属の眷属として常時、お側に使えさせていただけないか。」


「気持ちは嬉しいけど、君たちが街に現れたら大パニックだよ。」


「小型化もできますぞ」


 と言うと2体は、うなぎとザリガニに変化した。


「水槽で飼う感じ?」


「この状態でもほぼ同じように能力は使えますから、ご安心を。」


「主様は上級天使ですから、ミクロンでも実体化できますぞ」


「僕は人間なんで、できません。」


「やってみてくださいよ」


「そんなに言うなら、『最小化』」

 と念じると、確かに身長が1μになった。


 少しずつ大きくすることもできた。1mmとか1cmとか大きさを変えて遊んでいたら、生暖かい視線を感じたので、元に戻した。


「こほん、あと専属の眷属になって、他の方が君たちを召喚できなくなるとかないの?」


「それはありません。我らはゼウス様の魔導書のコピー版ですから、1/10のレベルで1冊1冊に印字されているコピー体なのです。」


「ゼウス様の魔導書に載っている我ら本体のレベルはゼウス様と同じ5800なのじゃ。」


「主様の専属眷属となって行動を共にすれば、主様と同じレベルに成長を続けるのです。」


「今ならLv674じゃな。」


「それが目的なの?」


「Lvはどうでも良いのじゃ、魔導書の中にずっと居続けるのは飽きるのじゃ。」


 少し考えるそぶりを見せ、


「じゃあ、スモールワールドを作るから、そこで暮らすのはどう?」


「お願いします。」「お願いするのじゃ。」


 僕は創造魔法でスモールワールドを創り、2体をそこに住まわせた。


「これで普通に生活できるようになったから、魔導書に戻らなくて大丈夫だね。」


「ありがとうございました。」


「恩に着るのじゃ。」


「普通に話せるし、友達ができたみたいで僕も嬉しいよ。」


「主様は友達がおらぬようじゃ」


「これからは、寂しくないですね。」


「あまり調子に乗っていると、魔導書に戻すからね」


「それだけはご勘弁を」


「ごめんなさい」


「そんなことはしないけど、夜になったら少しの間、会話できなくなるからね。」


「・・・・」


「主様も好きよのぉー」


「やっぱり戻そうか」


「いえ独り言です。」


「聞こえるように言ったら独り言じゃあないからね」


「はい」


「とりあえず、あやみのところに戻るから、大人しくしててね」


「はい」


 砂風呂に入ったところまで時間を戻し、あやみの横に瞬間移動で飛んだ。


 その後、軽い地震が起きたくらいで、噴火することもなく、のんびりしていると、いい感じで汗をかいているあやみの電話が鳴った。


「今日ね、友達が英国から戻って来るのよ、今さっき、日本の上空に入ったってメールが来たから、一緒に3人で空港に行く?


「ごめんなさい、お姉ちゃん。今私、トーマさんと温泉にいるのよ。1泊するから行けないわ。」


「そう、旅行中にごめんなさい、楽しんできてねー、トーマ君にもよろしく言っておいて。」


「わかったわ、じゃあね。」


 やはり噴火していたら、エレナさんの友達が乗る飛行機が墜落したのだろう。


 良かった。


 近くを観光し、宿に戻り、夜は、晩ご飯を美味しくいただき、あやみと愛を育んだ。


 僕は天使Lv675、あやみはLv48+Lv24でLv72になった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る