第29話 3月12日 カリストと一緒に
いつものようにおはようのキスをして、2人で軽く朝食をとり、あやみが病院に出勤した。
「おはよう、トーマ。」
「あれっ、カリストなのか。」
「そうだよって、この姿で現れてもわからないよね。」
美少女という言葉がこれほど当てはまる人を見たことがない。年齢は自分と同じくらいに見えるが、どこかの国の王女のように気品がすごく溢れている。
眩しすぎて凝視できない。
目が慣れてきたので、カリストに話し掛ける。
「どうしたの? 一昨日お別れしてから、2日しか経ってないけど。」
「それがね、トーマに憑いたおかげで、私もゼウス様の魔導書を使えたから中級神として認められたのはいいのだけれど、討伐ゲームの実行委員に任命されたから成功させなくてはならないのよ。」
「へぇー、そんなゲームがあるんだ。」
「4月1日までそんなに日がないから、手伝ってくれるとありがたいのだけれど。」
「カリストの頼みだからいいよー、何を手伝えばいいの?」
「そうねー、敵役のリーダー格に相応しい人を6人探して、やってもらえるようお願いするのだけれど。」
「どんな感じの人を探すの?」
「レベルが66になるように調整するから近い人がいいわね、それと、純真な人でなくてはダメ。そうでないと、ゲーム終了後に、体調不良になるらしいから」
「それなら、お世話になったお礼に、僕と僕の分身体が立候補させてもらうよ。」
「あと、忍賀の里の棟梁と娘さんにお願いしてみようか?」
「そうね、じゃあこれから一緒にお願いしに行きましょう。」
忍賀の里に瞬間移動で飛んだ
タイミング良く2人が揃っていたので、棟梁とカスミに事情を説明すると、敵役のリーダー格の件、快く引き受けてくれた。
先々代の棟梁、すなわち棟梁のお祖父さんが子供の頃に、どこかの国で神様のゲームがあったことを親に聞いたことがあると言っていたそうだ。
流石、忍者の家系だ。
僕もはっきりルール説明をしてもらってなかったので一緒に聞いてから、マンションに瞬間移動で戻って来た。
「忍賀の里の2人、カリストを見ても驚かなかったね。」
「認識改変の魔法をかけてありますもの。」
納得である、魔法をかけてなければ大騒ぎになってしまう、今の僕から見てもカリストは、美しく光り輝いている。
「トーマの目の前にいるのは分神体だからレベルが1/10になっているわ。」
なるほど、道理で鑑定するとLv126と表示されるわけだ。
「今日はありがとね、トーマのおかげであと2人見つければ任務完了よ。」
「早く見つかるといいね。」
「そうね。これから日本をぐるっと一周して探してみるわね。」
「じゃあまたね、何かあれば、すぐに来て、手伝うから。」
「その時はよろしくお願いするわ。」
一瞬でいなくなった。一昨日は不穏なことを口にしていたから心配していたけど、大丈夫だったようで本当に良かった。
カリストと力を合わせて、ゲームを成功させようと心に誓った。
あっそうだ。もし見つからなかったら、斉藤さんにお願いしてもいいか、お義父さんに聞いてみよう。
決して、美少女と一緒にいたいからという理由で手伝っているわけではない、と、思う。
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