第28話 3月11日 カリストside

 カリストside


 昨日は1日がかりで神問官から取り調べを受けた。


 午前中はゼウス様とのこと、午後からは日本でのことを根掘り葉掘り聞かれた。


 ゼウス様からいただいた魔導書を落とし、人間に当てたこと、神憑きの範疇を超えて、その人間を鍛えてレベルアップさせ、天界ダンジョンまでくリアさせてしまったことなど、日本でのことは、アマテラス様にお伺いを立てているので、追って沙汰が下るであろう、と言われた。


 大人しく幽閉されていると、アポロン様が来られ、

「反省しているのであれば、挽回のチャンスをやろう。」

 と言ってきたので、話を聞くと、


「日本で開催される討伐ゲームの敵役6人のリーダー格を探して任命してこい。」

 ということであった。


 どうやらゼウス様の魔導書を使って私のレベルが2倍になり、中級神になってしまったので、この程度で罰することが難しくなったようだ。


「ゲームが無事に終了したら、不問にする。」

 と言ってくれた。


「もともとそのつもりで日本に同行したのですから、お受けいたします。」

 と返事をすると、


「では頼んだ、明日からこれを着て日本に行け。」

 と言ってアポロン様はTシャツを渡してくれた。


 そのTシャツは、胸のところに大きく『大会実行委員』と漢字で書いてあった。


「日本の神たちに遠目からでもわかってもらえる。」

 と自慢げに呟きながら、去っていった。


 カリストは、このTシャツを着て日本に行けば、今度開催されるゲームのスタッフだとすぐにわかってもらえることが何より嬉しく、そして誇らしかった。


 中級神になると、下級神の時とは扱いが別格だなと、つくづく実感し、明日から頑張るぞと決意を新たにした。


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