第24話 3月8日 走行会
今日は日曜日、振り返ると1週間があっという間だった。
あやみが今日明日と連休なので、1泊でどこか旅行に行こうかと提案する。
ちょうど、お姉さんが、ツーリングカーの走行会に参加するので、見に行きがてら神成家の別荘にお泊りすることになった。
あやみは執事の斉藤さんに電話して現地スタッフに掃除と料理をお願いした。
「出発進行」
あやみの車に乗り込み、高速道路からターンパイクを走ってもらい、助手席で妄想ドリフトを爆発させて1人で熱くなっていた。僕も藤原先生に会いたい。
きれいな景色を見ながらのんびり走っても、出走の11時には余裕で間に合った。
神成レーシングのピットを見に行くと、レーシングスーツを着たお姉さんが手を振ってくれた。
「見に来てくれて、ありがとう」
「いえいえ、お姉さんも気をつけてくださいね」
「そろそろ名前で呼んでもいいのよ」
「では、無事に戻って来たらそうさせてもらいます。」
と言って鑑定するとLv48だったお姉さんに、ステータスアップ20%をかけておいた。
「もう、また2人でイチャイチャして」
「そんなことないよ」
とあやみをあやしている間に、お姉さんは愛車に乗り込み、6.5Lエンジンを高らかに吹かし、暖まったら、ゆっくりとピットから出ていった。
カタログ値ではスピードが350km出るらしいが、それでもストレートで300km近く出していたので、凄いと思う。
30分ほど全開走行を楽しんで戻ってきたお姉さんは、うっすらと汗をかいて女神のような綺麗さだった。
「お綺麗です」
「私の名前を呼んでよね、神成英玲奈、エレナでいいわ」
「では、エレナさん」
「まあ、いいか、呼び間違えないようにね」
「はい、エレナさん」
「もう、またイチャイチャしてるんだからぁ」
「3人でお昼でも食べましょうよ」
「はい、エレナさん」
「じゃあ、すぐに着替えて来るから」
エレナさんは10分ほどで戻ってくると
「この近くに美味しいお店があるから、行きましょう。」
と言ってあやみの車の後部座席からナビしてくれた。
天ぷらも刺身も美味しい店で昼食を取った後は、ストロベリーロードでイチゴ狩りを楽しんで、別荘に3人で向かった。
電話で連絡しておいたので、3人でわいわい楽しく食事をして、修学旅行みたいに話したり、夜遅くまでゲームして寝た。
エレナさんは、
「今日はとっても調子が良かったわ」
と1日を振り返って嬉しそうに言っていた。
ステータスアップ20%をかけて良かった。
今日はお姉さんがいて、あやみとイチャイチャできなかったからか、レベルが上がらなかった。
愛の定義が難しい。
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