第19話 3月4日 引っ越し?

 翌朝7時には、イタリア車のエンジン音とともに、お姉さんは自分のマンションに戻っていった。

 

 あやみは病院に出勤なので、2人で朝食を済ませ、両親に挨拶をして、斉藤さんの運転で送ってもらった。

 

 マンションに戻って着替えてから、あやみは病院に出勤したので、暇になった。


 そういえば、昨日、お義父さんがこの部屋に入ってきて、トーマ君の荷物はほとんどないようだけど、上の広い部屋が空いていたら替えるか、と言っていたので、近々引っ越すことになるかもしれない。


 そんなことを思っていたら、ピンポーンとチャイムが鳴り、鍵を開けて玄関ドアを開くと、管理人さんが立っていた。


「神成様からトーマ様を上の部屋に案内するように連絡がありましたので、ご覧になってください。」


「わかりました。」


 と返し、2人で5階から10階にエレベーターで上がった。


「こちらが2LDKの部屋になります。」


「今のところより結構広くなりますね。」


「単身用の58㎡から世帯向け86㎡になります。」


「こちらで、よろしいでしょうか。」


「よろしいと思います。」


 と返すと、いきなり電話をかけ始めた。


「気に入っていただけたようです。」


 何か話していたようなので聞いてみると、お義父さんとあやみは僕が了解したら、引っ越しを始めてくれとお願いしたそうなので、これから作業に入るようだ。


 引っ越し業者にをかけたので、間取りは似ているから、うまく運んでくれるだろう。


 邪魔にならないように、外に出て、瞬間移動で第一高校に飛んだ。


 完全な隠蔽をかけて、校内を散策する。


 エレナお姉さんは、今日も綺麗で、英語の授業をしていた。


 一応、学校全体にをかけたので、あとは入学式で新1年生にかければいいだけにしておく。


 気になるところはあったが、時間がかかりそうな案件なので、スルーして、製菓工場に飛んだ。



 丁重に出迎えてくれたが、昨日の今日では、まだ製造ラインは完成していない。


 明日手伝いに来るから一緒に頑張りましょうと伝えてから、その後、神成家に飛ぶ。



 連絡も無く、いきなり現れたのでみんなに驚かれたが、


「引っ越しのご配慮いただき、お礼を言いに来ました。」


 と言うと、


「お昼を食べて行きなさい」


 とお義父さんに言われ、美味しい昼食をご馳走になった。



 あやみが退勤する前に、マンションに戻って引っ越しの状況を確認しないと、と思い席を立つ。


「そろそろあやみが戻ると思いますので失礼します。」

 

「また、いつでも来なさい。」


 という会話の後、神成家をあとにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る