第16話 3月3日 役職拝命
朝早く起きて、あやみとおはようのあいさつをして、身支度を整えて1階のダイニングルームに行くと、ご両親はすでに着席しており、一緒に朝食をいただいた。
8時少し前に、
「お車の用意ができました」
と執事兼運転手の斉藤さんが声をかけてきたので、お義父さんと一緒に超高級車に乗り込んだ。
あやみは昨日乗ってきた姉の車で自分のマンションに戻り、そのまま病院に出勤する。
「じゃあ、またね、あやみ」
「はい、お仕事頑張って下さい♡」
と笑顔で見送られ、我々の方は県庁と超高層ビルの間に建つ本社ビルへと向かった。
会社に着くと、お義父さんの秘書のように斜め後ろに付き従って、エレベーターに乗って、会議室に入ると、会長、社長、専務と、昨日聞いた顔ぶれ以外にも取締役の方々が揃っていた。
緊急取締役会議の開催だ。
かなり大きな高層ビルだが、和従の魔法を全体に掛けておいたので、決を採ると社外取締役に満場一致で決まった。
あやみの祖父の会長、お義父さんの兄の社長、会長の弟の専務に、
「よろしくお願いします。」
と強めに和従をかけておいたので、会社での地位は確立できた。
自分用の取締役室を用意してくれたので、いつでも出入りができる。
「今度はうちにも遊びに来なさい。」
と3人に言われたので、
「必ずお邪魔します」
と伝え、終始和やかなムードで会議は終了した。
善は急げと、お義父さんと一緒に、製菓会社の工場に斉藤さんの運転で向かう。
20分ほどで製菓会社に着くと、本社の常務が社外取締役を連れてくるというので、工場長たちが出迎えてくれた。
会社全体に和従をかけてから簡単な挨拶を済ませ、試作研究室で技術者たちに説明する。
彼らには、飴をイチゴとかグレープとかミント味にして、秘伝のエキスを混ぜて作る工程を説明した。
秘伝のエキスは良薬を作るような感じで創造魔法を全力で駆使して創った。
イライラが解消され、リラックスでき、夜はぐっすり眠れる。
魔法薬なので、検査しても何の成分も検出されない。
したがって、成分表示に記載ができない。結果、飴の形を可愛らしくしてみた。
りらっくあめ、おちつきあめ等いくつか商品名を考えたが、大人の事情で、ラック飴に決まった。
お試し価格3個入100円で売って様子見し、軌道に乗ったら5個入200円で販売する。
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