第14話 あいさつの順番ってないの?
「お父様、ご無沙汰しております。」
「こちらのトーマ様と結婚を前提にお付き合いさせて頂きたく、お許しをいただきにあがりました。」
「鈴木トーマと申します。」
「お嬢様とお付き合いさせていただきたく、お願いに上がりました。」
すでに和従もかけておいたので、先ほどの魅了と相まって、終始和やかなムードで話が進んだ。
ばあちゃんや爺ちゃんが大好きな孫のためなら、喜んで何でも言うことを聞いてあげてしまう、そんな状態だ。
その間、両親を全鑑定し、現在から過去に至るすべての交友関係や秘匿情報を入手しておいた。
あやみには姉がいて、なんと来月から自分が通う高校の英語の臨時特別講師をしている。今度挨拶でもしておくか。
父親はその高校の理事もしている。神成家の名前はどこでも重宝されていて、ありがたいようだ。
両親に特に怪しいところはなく、一族は代々続く名家で、かなりの土地を所有している。相当な金持ちのようだ。
あやみの祖父が会長をしている神成産業は、日本有数の巨大企業で、あやみの父の兄が社長に就いて手広くやっている。
あやみの父は、常務取締役として名を連ねてはいるが、あやみの祖父の弟が専務取締役として会社を牛耳っているので、必要なときだけ出社している。
早速ではあるが利用させてもらおう。
「お義父さん、私から1つ提案があるのですが。」
「何かね、トーマ君の言うことなら、できる限り協力するよ。」
「ありがとうございます。」
「私が考えたフレーバーキャンディーを製造販売して欲しいのですが。」
「それはどのようなものか、企画書のようなものでもあれば。」
「神成産業の子会社、神成製菓でお菓子を製造している工場のラインを1つ私に貸して下さい。」
簡単に商品の説明をすると、
「なるほど、明日、神成の本社に来なさい、君を神成産業株式会社の社外取締役に任命するから、神成製菓を好きに使っていいぞ」
「ありがとうございます。」
「明日は忙しくなるな」
「もうこんな時間か、君と話していると時間のたつのがあっという間だよ。」
「昼食を用意したから、食べて行きなさい。」
「では、ごちそうになります。」
「ありがとう、パパ。」
それからの1時間は今まで食べたことのない美味しい料理が振舞われ、
「こんな美味しい料理、初めて食べました。」
と言うと、
「これくらいならいつでも出せるから、好きな時に2人で来なさい。」
と言ってもらえた。
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