第11話 もう不細工じゃなくていいの?

「話変わるけど、病院に搬送された時、病室に来てくれた看護師さん、目が合った時、固まってたけど、どんな効果なの?」

 

「あれは、2倍レベルアップして、魅力とか威厳とかいろいろ漏れていたのと、私が憑いたせいで見た目が少し綺麗になってしまったからかと。」


「外に漏れないよう、結界を薄く体の表面に纏わせたので、今後は意識的に発動しない限り、このようなことは起きません。」

 

「じゃあ、意識的に使う場合はどのくらいまでなら許されるの?」

 

「下界を見張る異端神問官に見つかるまでは大丈夫です。」

 

「どうすれば見つかるの?」


「大量虐殺とか、戦争を引き起こすとか、博愛を掲げるゼウス様の下では、」

 

「ちょっと待って、ここギリシャじゃなくて日本だよ、誰が見張ってるの?」


「えー、日本人は現在、比較的穏やかなので、アマテラス様とツクヨミ様で高天原から見回す程度かと」


「ふーん」


「じゃあ、今まで不細工だったから、3年間ずっと1人で修行に明け暮れてたけど、イケメン風に変身して、青春を謳歌してもいいの?」


「今のままでも、トーマ様の言うイケメンになっているかと。」


「えーそんなことある?」


「はい、鏡をご覧ください。」


 目の前に鏡が出て来た。

 日本人のパリコレモデルかと突っ込みたくなるほど自分の姿が変わり過ぎていた。


「子供のころは、正義のヒーローとか憧れたけど、これならアイドルグループにいて

 もおかしくないね」


「はい、もちろんです、カッコ美しくなりましたよ。」


「ありがとう」


 思い描いてた大人の男になっていたようだ。身長も10cm伸びて180cmになっていた。


「じゃあこのままさっきの病院の看護師さんにお礼を言いに行こう。」


「はい。あっそういえば先ほどの女性は研修医です。来月から正式に医師として働くようです。」


「そうなんだ、教えてくれてありがとう。」


 瞬間移動で病室に戻る。時計を見ると、部屋を出てからまだ10分しか経っていない。探知で探すとナースステーションで休憩していた。


 先ほどの研修医さんのそばまで行き、声を掛ける。


「先ほどは、驚かせてしまい、ごめんなさい。生徒手帳を返してもらうのを忘れていたので、取りに戻りました。」


 無言で見つめる研修医さん、固まってしまった。


 仕方が無い、魅了を少し使って、言うとおりにさせよう。


「手帳のお礼に、食事に行きましょう。着替えてきて。」


「皆さん、彼女は早退しますので、あとよろしくお願いします。」


 隷属ってまずい気がするので、創造魔法でを作成、ごくごく微量の精神支配で平和的に従ってもらう、をふりまき、皆何事もなかったかのように、仕事に戻った。

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