第3話 アポロンの策略

 アポロン達は、ここ伊勢の上空から一気に北上して最北端まで飛び、最南端まで空の上から見て帰る予定を立てていた。


 飛行中でもしっかりメモを取っておくようにと言われた従神が慌てて鞄から手帳を取り出した時、アポロン達の父ゼウスから昨日、従神の命を受けた記念に頂いた魔導書を落としてしまった。

 

 アポロンは、この従神カリストが父の寵愛を受けていることを知ってから、どうにかして罰を与える方法はないかと思案していたが、異国の地、日本で、ゼウスからもらった魔導書を紛失するようにしむけ、責任を取らせようと画策していた。


 後で知ることになるが、落とした魔導書のタイトルは


『最高神がこっそり教える上級神合格への道』と書かれていて、


 サブタイトルには、最高神ゼウスから上級神魔法をプレゼント、この本を読み進めると、いいことあるよ!、と書かれていた。

 

 関係を持ったこの従神に早く上級神になってもらいたいというゼウスなりの配慮であった。

 ただ、他の神に羨ましがられないように、何でもないただの本に見える高度な隠ぺいが施されていて、後で見ようとすると、何の本なのか気づきにくい。

 


 そのことを知っていたアポロンは、カリストが鞄を開けた時に、一瞬時を止め、魔導書を掴むと地上に投げたのである。

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