私は科学の力を信じているだけだ

さっきまでなかったような気がするのだが、いつの間に出来たのだろう。

まあいいか、と思いながら箸を手に取った時だった。

横合いから声が来た。

見れば、舞だった。彼女は両手を腰に当て「あー、何だ、私も食べたいなと思って、作ってみたぞ」

などと言う。

「何言ってるんだろうこの人? 」と、新庄は思った。

「舞が作った? あのカップ麺を? 」

そう判断した。

舞は背が低いのに器用にお玉を使い、カップの中から何かを取り出している。それが何かわかった瞬間、新庄の顔が引きつった。舞の手にあったものは、揚げ物用のフライヤーで温められていたもの。すなわち、唐揚げだった。それも五個も六個もある。それを舞は箸でつまみ、口に放り込む。美味そうに咀しゃくしながら言う。

彼女は言った。

「お前たちが作るのを見ていたので簡単だったな! 」

新庄は恐る恐る聞いた。」……えっと、どうやって作ったんですか?」

舞は答えた。

「……どうやったと思う?…………」

無言の後、新庄が聞く。「先輩、ひょっとして超能力者ですか?」 と。

舞は答えた。

「……違うぞ馬鹿者が。私は科学の力を信じてるだけだ! 」


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