第5話

喫煙の良さとは何か。


暗転。




  『Teen Grave』4話



「それも分からないのがまたおこちゃまだな」

「うるさいわかるわボケ」


思わず何故か関西風のツッコミを入れる。


「僕、ヤニクラが気持ちよくて吸ってるだけなんだよね」

「確かにな。一回吸い出すと止まらないし」

「ヤニカスのお前ですらわからないの?」

「それ呼ぶのやめろ」


僕の煽りに苛立っているのか、ペン回しの如くクルクルとカッターナイフを回す。


「ん-、まあ皆そうなんじゃねえのかな。要するにこんなのは薬物の一種だ」

「一般化されすぎているけどね。外国じゃ大麻なんかも合法なんだっていうから驚きだ」


大麻入りの料理やケーキなんてのもあるのだから、そんな軽い薬物なら日本でも合法化すればいい。

僕のモットーは"合法"。違法スレスレをいったとしても、グレーゾーンをいく。だから、対して大麻自体に興味は無いのだが。


「ケーキといえば…俺の定番はブラックデビルを吸った後に、チョコレートを一口食べる。するとな、生きてるって感じするんだわ」

「そういう嗜み方をしているのなら、薬物と呼ぶには酒よりも程遠い気もする」


煙草を吸うと、ふわっとする。"チルってる"な、という感覚。

精神安定剤ほど鎮静効果はないのに、リラックス出来る。医薬品とは流石に別物だ。

一気に吸いすぎると吐き気が止まらなくなるのも、その証拠じゃないだろうか。個人差はあるだろうが、僕の身体はそう出来ているらしい。

だけど、喫煙の嗜み方はきっと人それぞれなのだろう。


「結局、娯楽の一つよ。依存性がある娯楽。ギャンブルや酒も、同様にな」

「そうかもね。」


でも、依存性がある娯楽なんて世の中には溢れているんじゃないか?

スマホ依存症やゲーム依存症なんかもそれに含まれてしまう。


結局、何かに縋って頼りたい気持ちがどこへ向くのか。対象は人によれど、その"心"次第で人間が何かに依存するのは容易いことなのだろう。



最近、ラッキ―ストライクじゃ物足りなくなっている自分もいる。タールもニコチンも低い。

そろそろあの子が吸っていた銘柄も卒業時か。それにしても煙草は金がかかるものだ。


一服中の、そんな話でした。

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