狭い地上は宙にへと⑦
ろくでもない世の中だなぁとか考えている時間というのは大きいことなのだろう。
それで役に立つ事象というのは決して多くはないというのに。諦めてしまえればどれだけ楽だというのか。それでもその決意スラ取り戻せずにいる自分としては遊んでいるだけの事すら惜しいと感じてしまえること。下らないと吐き捨てられてしまえることがどれだけ恵まれているのかということにまで帰結しそうだ。
どうせこの世界にはだれもいてくれない。友情なんていうのを信じていられることがそもそもとして珍しいというのにそれに気づくことすら難しい。
「だってと喚き散らしていくのがどれだけの迷惑であるのかなんてことすら試行すらしないというのが、どれだけ愚かしいことか。あぁまぁそれも」
「それも本能で理解してしまっているということなんでしょうね。情報はある程度の欠損はあれど確かにこの遺伝子に蓄積されている。あたしがどうして貴女の前に現れてきたかなんて………………答える必要もないでしょう」
ドゥゴーンの背にへと飛んでくる声。それは彼にとっても聴いた覚えのないものであったか。だが確かに分かることは、この少女と思わしき相手は明らかな敵意を有してここまでやってきたということだ。それもただ外壁にて立っているだけの、リース内部には一切の干渉などをしていないモノをだ。であればこちらに身に覚えがなくとも何かしらの因縁を抱えてしまったということなのだろう。それが何なのかというのが気になるところではあるが、そんなことを追究しようする暇など………………多少はありそうだがその程度。
「どうせその目的というのもちっぽけなものなのだろう。なんて口が裂けてもいえないな。そういうことのために活動をしていてそういうことを対象にして散々利用し続けている我々にしてみればか」
「そういうのはどうでもいい。それよりも訊きたいことがあってここまで来た」
「………………ンあぁ?今更やってきて尋ねたいことがあるなんていわれてはいそうですかとそれで素直に答えてやる義理はない」
正気なんて既に失っていると思っていたのに、それでもこいつに因縁なんていうのがないわけではないと。
「わざわざ出張ってきた理由というのも消え去ってしまったな。これじゃ期待した分で投資したそれすら回収が難しい。というかできるわけもないか」
振り向く必要もなく後ろにいるのが強者だというのは理解するが、その程度にしか留まって終わるのが容易く想像がついてしまうそれ。圧倒的なまでのなんて到底呼べる者でもない。
(あの野郎から一応の許可でも取ってきたのでもそれもどうせ必要でもなかったろうし、それにこいつの元にまでやってきたのは完全な私情だ。復讐というのであれば俺が一番に望むことだったがそれが遂に叶うのであればこれ程自分の精神が心配になることもない)
「そうだよなぁ。そうでもなければやっていけないよなぁ。ここからぶん回してでもその命をもらい受けるッてぇの‼」
そして一本のちゃちな拳銃でも持ち出していく。だが
「そう感情的になるなよ。そんなに喚き散らされても困るっていうのに」
ドゥゴーンは既にカットラスでも持ち出していってそれで後方で銃弾を放ってきた野郎にへと振りかざしていく。それで飛んできている弾丸を引き裂いて斬撃は前方にまで大きく弾いて向かってしまう。そしてそれは
「個人の感情で動かれるのが一番に面倒なことだと耳にタコができるほどにはいってやった気もするんだが。振り切ってでも勝手にきてやったかいがあるというもんだ」
そんな声が聞こえた気がした。だがそれは幻聴であったか。いいや、それはただの間に合わなかった夢の一つである。ただ男の未熟さゆえに男の復讐すらも成し遂げられなかった末の感情。その至らなさ。
だとしても、ここにまで必死こいて実際に追いかけてきた野郎というのは存在している。ただそれでも彼の兄弟ではなかったこと。ただの凡人。どこか頭のねじとかが飛んでしまっているイカレタ常人であるというだけのそいつ。
「ポンコツばかりなことで必死にやってきた結果がこれかよ。………………それと甘えも変わっちまったな。情けないったらありゃしないよ。泣いていても解決しないからガキに任せていられなくなっちまって出てきてしまったじゃねぇかよ」
この男の全身を覆う鎧というのはどこかしらの不自然で歪なそれを感じられてしまう違和感。だがそんなことを気にしていられるほどの余裕なんて全身の肉が引き裂かれてしまっている状態の
立ち上がるのも困難な状態であるがそんなの気合でどうにかしろと言われてしまうだけであるのは経験で知って………………流石にここまでのけがはなかった気がするような………………。それにそもそもあんな斬撃一発でこんな現象を起こせるなんてどんな術を含めたらこうなるのか。
「面倒なことになったなぁ。あれから永い時間が経った。それでもお前らはそんなことばかり。とかいう問題ですらないのか、結局はその命すら贖うのには足りない罪」
「それはお互い様だろう。いくら何でも死を恐れぬ兵士などというのは貴様でも完成させられなかった。そんなもんはいつまでたっても人道的な問題が降りかかってくるのは当然だし。それに、どこまで改造を繰り返してもただ意志には、気合には叶わないことだったというな。結局対話すら出来なくさせてしまえば、そいつは戦場ですら役に立たないようになってしまう。そういうことを散々幼い命を無為に散らしていくことで思い知ってしまったのだろうが」
「………………あぁ、悪いが今はお前らに構っている余裕なんてない。それでも儂と戦いたいというのであれば」
「どうせお前は逃げられねぇよ。ブイゼロはいろいろと今でもいくつか計画やっているらしいしなぁ。そして俺らは遂にあれが打ち上がっていったことだ。お前が反抗しようとする理由にも考えてしまえば届くはずもない」
ドゥゴーンはその握っているカットラスというのをしまってしまう。そして上空を力強く空高くを指さしていくことをする。空高くとかいってもそこにあるのは変わらない宇宙の彼方でしかないこと。
そんな場所にあるのはどうせどこかしらにある宇宙で飛び交っている隕石の一つでしかないそれ。たった一つに見えるそれというのにいったい何があるのだろうか。
「くだらない。今更それに興味などなのと何度言えばわかる。儂のいまするべきことなんていうのはそこにはあるはずもない」
そしていきなり現れてきたその野郎というのは
「でもやっぱりあんな風に言われてしまうのはショックだなぁとかッ⁉ガァガガガガガガガガガガガガガガガガてめぇこら黙っていることすら出来ないのか。なんで今になって意識を取り戻してくるんだかッ」
突然の苦しみに思わず頭を抱えてしまってもこの場から一瞬でその姿を消してしまうドゥゴーンであったか。
あぁどうせ人生の僅かな時間で確保できる平和で長閑なことなんていうのはごく少量だ。それを知っていてもやはりというか、遠すぎるのが日常というそれ。どうせ自分一人が向かっていったところで役に立つことなんてごくわずかだとしても、それでもせめてその場にいたいという我が儘。
理想だとしてもそれで向かう先なんて、やはりその理想なんて破滅にしかなれないのがあって………………。
「その何でもない日常こそが本心で欲しいと願うそれだというのだろう。だがその日常というは終わってしまうからこそだ」
ティアマット・グレイドの前にへと立っているのは謎の仮面野郎。その仮面の装飾というのはどこか派手にでも見えてそれはどこまでも華美になっているだけで済んでいるそれ。
「綺麗ですね。そこをどいてもらえますか」
「お断りだ。なんのためにこのエリアにまで詰めていると思っているんだか」
本当にこれが本心か。だがそれはそれとしてこの仮面を被っている男から感じる気配に覚えがあるような気がするのは記憶違いだろうか。そんなことを気にしだしてもキリがないとでもいうのか。
「安心しろ。お前さんがいくら目的真っ直ぐに突き進んでいこうとしてもそれで叶うだけのことなど………………」
もうこうなれば別の通路でも探していけばいいんだと気づいてしまった。あぁ精神が何かしら熱に侵されてしまっている気がしているので一旦は落ち着いた方がいい。
そう考えてのことだったはずだが、どうにか後ろにでも振り返ってしまえばそこには既にシャッターでも閉められてしまっている状態。言葉も出ない状況だこれは。
「そもそも君を逃がすつもりなどないので。わざわざ勢いよくも飛んできただけのことはあるがその気合など足りてもいない。足りていれば目的として望んでいたはずの場所にたどり着くはずだ。だがたどり着いたのは私の前だというね。君の望みというのを今一度考えてみればこそ、その答えが出るはずだが」
だがそう問われたティアマット・グレイドとしてもそもそもこの仕事でするべきことなんていうのを思い出そうともしている。だがそれで………………出てきたのは驚いたことに碌な思い出がねぇと自分が嘆いている風景くらいのもんだ。
そもそもとして現在この落ち着きのないことでもないことを自覚しているのであれば速やかに落ち着けとしか言いようがないそれ。もうどっから………………あぁそうか、これからのことってまずは北極からどう来たんだっけか。そもそも宇宙の片隅の大地に降り立ってみればどこか肌が緑色している人種がそこに住んでいて。
というかいまするべきことっていうのはあの子たちの位置の特定というやつだけれどもう既にあの戦艦は見つめてあれに乗っているらしいということなので一安心ではあるけれど。ではそこに全員がいるんだっけとか言われてしまえば非常に困る。
『つまりはそういうことだ。誰も普通の子はそんなことしないだろうとか考えるべきではないということ。どうせここでシステムの乗っ取りでも苦労をどうにか必死に頑張ってでも贖ってしまうだけの分はこっちでやっているんだから。であればそっちもその苦労以上のことは果たして欲しいですよ』
気楽にそんなことを言ってくるラスカルの声が通信で入ってくる。そういえば専用の通信回線でも用意してもらったがそうしなければいけないほどに通信の環境が悪いということなのだろうか。それともそれくらいでなければ回線なんて引かれていないともいうのか。
「色々と言いたいことはあってもそれすら叶わないとして、それで途半ばでその命を落としてしまう絶望の色というのは、君の場合ではどのようなそれになってしまうのだろうか」
この仮面の男というのは確実にこちらを狙って狭い空間にまで追い込んできていたのを記憶をたどってでもなんとか思い出す。ただただ曲線を描いてでの飛行であったがそれでもある程度の方向転換というのは、幾分かのカーブで実現させていた。
流石に大雑把にもほどがあるんじゃないのかとも思えてくる。不思議な思い出ばかりだがそれでいいなんて誰が思っていられるのか。
(本当に、ラスカルの方を心配した方がいいかも。それと一緒にあの白髪の彼もかもだけれど)
で、心配ばかり掛けてしまっているラスカルとしては現在たどり着いた動力炉本体に眼を奪われてしまうことになっていた。あぁこれは比喩ではない。ただの幻覚だ。
きっと夢だと信じていれば振り切れる程度の現象だ。それでやはり眼元に掌でも当ててみればようやく気付けることだってもある。あぁ、ちゃんとあるではないかというね。
「どんな効果でもしていればこんなことになるんだか」
触覚として眼球が未だ健在であることを確かめられただけだ。あと他のことに関しては、視界が取り戻せていないことを含めて碌に解決などしていない。
そこでラスカルが持ち出していくのはただのサングラスだ。サングラス一つで防げるなんて到底思っているわけもないが、このサングラスとして求めている機能のそれというのはそもそもとしてそっちだけではない。
「部位アール後-グルとかそんなのを開発するのには間に合ってはいないわけでもないけれど。でもやっぱり周囲の情報を入力してそこで動いていくなんて手間がかかるばかりて仕方ない。どうせそれが出来るのであれば自分の躰でも動かしていけっていうのこと」
まぁそれが叶わないからこその行動なのでしょうけれど。結局は悩んで悩んででも情報の処理だけはし続けるしかない。その全ての方針が常にぶれ続けても自分が動くだけの理由なんてあるはずが………………。
「それは賛成だね。お互いにそんなことをされてしまえば戦争などどうしてもつまらなくなる。お互いに命を懸けての戦争こそが美しいのだと、それを私に教えてくれたのは彼女であった。だがもうしばらくは会えていない。一体どこまで逝ってしまったのか」
この動力炉のある空間にまでやってきたのはどこかその姿に不安定さを持たせている誰かしら。あからさまなまでにその不自然なまでの戦闘力の欠如が見ただけで理解させられてしまうのは、それだけに見る者に警戒させてしまう理由には充分なる。
だがそれでも気になるのはこいつが口にした彼女という誰かをさしたそれ。
(逝ってしまったというが実際にどこにいるのかなんていうのも、そもそもがその彼女とやらが誰の事なのかすらも知らないでいる。であれば好き勝手にでも想像してやるしかない。この動力炉もそもそもがどんな素材でエネルギーで構造で運用しているのかなんていうのも興味が尽きない)
だというのにその理解が遠すぎる。せめてこの一部でも意識を溶かしてしまえればこれも理解できるのだろうか。ラスカルだってもわざわざ自分の用意した人形というのを伴わずにやってきたのだ。それだけの勝算はあるつもり。というよりはできるだけ負けないようにと選んだ手でしかない。その一つというのがだ。
「ただ何もかもを諦めてとんずらこくというだけ。わかりやすいね」
サングラスには周囲の情報を脳にへと認識させて膨大な空間にへと丁寧に複製させていくだけの機能がある。それはつまり出力するコンピューターさえあれば再現可能だということだ。ただただ正確に迷うことのなく脱出の、非常口にへと真っ直ぐに向かっていくことまでしていった。それがかなり安定した速度であるというために追いかけていく気にもならない。
ラサナーデだって自分が貧弱であるというのは散々になるまで理解している。それで費やした結果というのが今に至るというだけの話。
「それでもこの炉を破壊しようというのは出来ない。決してそれをしてはいけないと感傷でその手を止めてしまうことになるからこそ。いくらでも、星を守りたいと必死に足搔いているだけでは、手を伸ばしていってしまえばその守りたいと願うそれが壊れてしまうという、情けないと思うのであればそれは君が未熟であるからだ。他のせいにしてはいけない」
「長い独り言ですね。では、せめて大事な誰かさえであれば事足りるとか思っている僕であればどうなるのでしょうね」
そしてこの場に現れてきたのは白髪三千丈の少年であるのか。その纏いし異様な気配やら覇気とかも含めても明らかに年相応には見えない。だがこの状況でその溌剌な笑顔でいられるだけ狂気なら楽に感じられることだ。
「あぁ貴様か。どこまでも危険なことばかりしてくるという異形の人間とは。ろくでもなく女をッ」
というところでいきなりの炎槍の展開である。複数が放たれてしまっている時点で周囲を圧倒するだけの火力は充分にある。だが周囲とかいってもここには特に誰かしら他の者達を置いている様子がないのは驚いた。
だがその全てを焼き払ってしまえればこそ、この動力炉に傷でも与えてしまうのは思わず躊躇ってしまうので火力を抑えたそれになってしまう。
その隙に接近でもしてくるのがこういうやつの怖いところ。研究職で当人はあまり動かないんだろうなぁとかいうのこそいざとなれば前に出るんだから。
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