狭い地上は宙にへと⑧

 がっちりと掴まえていったこの砲身というのをマニピュレータで握っていくことをする鬼公。これで一気に火力でぶっ飛ばしてでもしていく馬鹿みたいな砲撃。

 だがそれでも目の前にへと現れてしてしまっている怪物の処理などというのには叶わずにいる。流石に完全にとはいかなかったらしいのか、全身を粉砕されながらも立ち上がっていこうとするのだからその強靭な体力には感心するばかり。

「なぁ、それでも既に虫の息だよ。そこから立ち上がろうとするのには無理がある」

 ここで砲門開いていって魔力砲の集中砲火というのを浴びせていく。それでようやく破壊されてくれた、そしてこの場から完全にその姿を消滅させた木製で立っていた異形の人形ひとがたであったのか。

「碌なもんでもなかったな。あれくらいの処理なんて他の奴にでも任せてしまえればよかったのだけれど」

 そんな余裕なんていうのは現状であるはずもない。鬼公五式だっても相応の無茶苦茶なチューンをしている。いくら何でもこれで量産計画やっているわけでもない。

(というか量産されているのかなんていうのも、どこにどれだけの配備がされているのか把握………………しているけれどもなぁ)

 まぁそんなことは後回しだ。優先するべき事象というのは数多く存在している。重要なこととして懸念するべき事項というのも確かにこの場にぽっかりとある。

「なんであの怪物の残骸が無くなってんだよ」

 オルトス・ダイアモンドがぶん投げてきた顎のある円盤生物。あれは誰かしらにへと改造を受けてしまったという印象がある。だがそれで対策をするのには困難なほどには自分たちが強いということ。………………で、それで一切安心など出来るはずもない感慨。

「逃げられたなんていえばそれだけに悔しい。これからしばらくはちくちくと言われていくんだろうなぁ」

『そう考えているだけ不安があるというのだろう。わざわざライフルでも投げ込んでいっただけの分の成果は上げても、自分との仲にあるだけの信頼にだけは達してくれているだけ。それではつまらないのだというのに』

 で、このトンデモ火力なライフルの本来の装備機体であるハンティングを愛機としているオルトス・ダイアモンドからちくちくと飛んできていた。あぁ本当に素直に再会というのを喜んでいられる時間というのはないのだろうか。というかそんなのがとてもではないが我々に与えられるなんて思えるわけもない。

「そっちはどうなんだか。かなり乱戦になっているんじゃないのか」

『それは否定しないが………………それでも何とかこの周囲に強い濃度で散らばっているズルワーン粒子にでも干渉してしまえればこうして通信環境も整えられるというものだ。自分に出来たのであればこそ君もやれているのだろう。どうせこの相手の要求すらも明確に理解できていない戦争では真正面から向き合っているやつにでも期待するしかない。というわけで自分は他を廻るから後でな』

 そしてオルトス・ダイアモンドが壁の向こう側からあっという間に離れていくことを感覚として理解する。そこにいたはずの戦友が自分の近くから遠くにへと少しずつと距離として離れていくのを感じてしまうのはとてもとてもということで、あkとても喜ばしいこと。

「信頼というのはこういうのを指すのだからさぁ」


 この世界に降り立つほどの奇怪な終焉。それはどうしても生理的に受け付けてくれない。ただ、何かしらのフィルターでも通したかのような致命的なまでの凶悪な感覚であるのか。

 これが一体何を意味するのかなんて分かりもしない。だがそれでも考えてしまう。

「あの所属不明の艦がいない」

 どうしてだろうか。だがそんなことまで気にしていられる余裕なんてあるはずもないだろうし。その報告があったせいでその不安が明確にぴったりと押し当ててくるとは誰が想像したことだろうか。この目に映るだけのことなどでは信じきれずに戦えばそれでようやく理解できるとか思っていたらそもそもがこの戦場にはいないとは。

「どうなっているんだか。無茶でも通してしまえればとか考えていたがそれも大体はあっているということか。そもそも相手に出来ればということ」

 現在は真っ当に軍人をやっているので勝手に抜け出すことも出来ない。せめてこの仕事が終わったらしばらくというもあるが、それもすぐにというわけにもいかないということだ。どうせこの世界で非道に走るだけの考えはない。

「どこぞの怪獣でもあるまいし」

 勝てる勝負はなくとも………………あぁそれでもどうせいるとか思っていた異形の怪物。それを歪だと評することなどというのは容易いがそれどころではない。まずはそれをするだけの体力とかエネルギーとかが欲しくなる。

「今からブルーネオの大群を相手に単独でしなければいけないのか。死にたくはないというのに脅威のその数が多いッ‼」

 杏里・レジーナは高速で向かってくる機械兵器にへと、その全てにへと徹底して警戒をして圧倒するだけの構えをしていく。


「ちゃんとやれてますかねぇ」

 バーデス・ウィードとしては目の前に映る派手で凄まじい景色。この景色というのを見せられている方とすれば心底驚いていてばかり。この世の中というのはどこまでも悲惨になれるとのことも感じさせてくれること。

 だがこの戦場と成り果てた空間を縦横無尽にでも動き回れているデスパレードの強さというのも相応の強さということ。それを操舵しているバーデス・ウィードの実力が一番凄いってことにでもなるのだろうが。

「そんなんで、逃げ惑っているだけでその勝てるほどの弱さなんてないし。ここらにあるのはどうせ雑魚ばっかだし」

 そこまで口にしたところで思わず拳を握ってそのまま振り下ろしていこうとしてしまうバーデス・ウィードである。だがそれで解決できる事象がある程都合のいいことなんてない。あぁ、これだけの人間を踏み潰してしまっているだけのことであるというのは心苦しくも涙を流してしまうだけの………………そんなことなんてして堪るかということ。

(決して殺したやつが涙を流すなんてしちゃいけないことだろ。それでこその戦争なんだから。こういうのは艦載機にでも乗って飛び出していって狂ったように対象とする敵対勢力を惨殺していくのが誇らしいというのに)

「だがそれでもこの手で船の操舵とかやっているだけでは闘っているなんていう気がしてこない。この手をなんて馬鹿なことを今更考えているんじゃないだろうな」

「………………こいつとの付き合いなんていうのはこれだけに面倒なんだよ」

 こんな感想ばかり上がってくる。グレイシアが銃のその引き金を引いているのだからこの責任を圧しつけているようで申し訳もなるというが。

「悪かったよ。このやり取りだって一体どれだけこなしてきたっけなぁ」

「知らんよ。あちらこちらで………………おい」

 グレイシアの視界を横切る異形の怪物。それはどこか象のような姿をしていたようにも感じられる。だがそのサイズからしてもどこか現実味のないほどの容姿もしていたりしていた。

 これが明らかに危険なそれであるという印象がグレイシアの眼で認識をそうさせてくること。どうしてこんな怪物がここにいるのかなんて関係ない。だがそれは、どこか不自然な様相というのを含めても対応の難しいそれ。だからこそ声を上げて回避の行動を促していく。

 そんなものを聴く必要もなくデスパレードの高速での機動。それは何かしらに弾かれたような変態的なそれ。内部は相当に揺さぶられてしまうかもだがそれも僅かで抑えていく技術は恐ろしいともいえる。

 障壁の展開を行ってその衝撃というのを横に流していくところまでしていけばそれでこその事象。回避が叶うだけにデスパレードが強力だからこその動き。

「でも流石に移動の余波だけであれって狂い過ぎているだろ………………」

「………………あぁ、あれがここを通ったってことはつまりこの先に何かしら目的があってということか。ということは未だにこの戦いは終わらなそうだな」


 実際に解決する手段というのはなんだっていい。ある程度の基礎さえあれば演算式なんてそれの積み重ねということ。それで実際に求められてしまうのはその演算能力の限界ということ。積み重ねてきた式の中にどれだけの共通点を見つけられるのか。

 それで結果としてその原因でも探していけばそいつが公式となるわけだ。それで本当に公式でも繰り出せる数学者がどれだけいるのかという話にもなる。少なくとも常人が容易くできることではない。せめて常人に理解できるようにということで公式の説明が入るというのに。結局必要なのなんて蓄積されているだけの膨大な情報量とそれを処理できるだけの能力ということ。

「それでまさかこの子たちを欲する者達が現れてくるなんて。いくら何でもとか思うけれども、それでも、そういうことをするからには目的というのがあってその手段のために選んだということ。貴方が彼女らを欲するだけのその目的というのはッ⁉」

 青木あおき后河こうがは一瞬自分の意識が飛んでしまったことを憶える。

 一切周囲にいるモノなどただの景色とか程度にしか思っていないらしい。そんな様子でこのベッドが並ぶ部屋にまで脚を踏み入れてきたというのだから。それが余りにも自然なせいで藤樹礼那も常磐美利も咲乃深礼もこれに気づくことへは遅れてしまうことになる。青木あおき后河こうがだっても対応に一歩進み忘れていることを自覚しながらも間に合わなかったということだから。

「どこの誰だか知らないが若い女の子がそんなものに手を出していいことはない。すぐさま立ち去るのだな」

 ここにいる誰も眼中にないとばかりに、その強さなど一切足りていないということであるという考えでの優しい対応などをされてしまえば………………悔しいとなんて心で思って当然の事。

「悔しくて涙を流しそうになるのは特におかしなことでもない。けれどあたしが言いたいのはそんなことでもない。全部全部とあたしの大事なものを奪われてしまうのは涙を流してしまうことに値する。だけれど、それでそのままに奪われてしまうなんて決して誰も望むことではないからッ‼」

 そして青木あおき后河こうがの発動する『白骨式・螺尖旋』ではあるがこのままに振りかざして突き込んでいく。常に喧嘩腰でいる彼女らしい初撃。

「言ったはずだ。救いたいとでも思うのは、それだけでは足りない。傲慢で不自由で我が儘であるというのを忘れてはいけない。それであればこそ私のような存在を生み出す続けてしまうことだから」

 青木あおき后河こうがが放った一撃は拳一つで防がれてしまう。これのせいで姿勢が崩れてしまうのはただ勢いが足りなかったせいか。もう少し力強くでもとか考えていたがそれをしてしまえればこの部屋を更に破壊してしまうことになってしまうのでできればやりたくなかった。だがそれで躊躇ったせいで威力が足りなくなるというのであればまた別の問題が生えてくる。

「その実力が足りないという問題が自覚出来てよかったではないか。このままに」

 すぐさまその侵入者というのは更にその場から離れていくことまで始めていたらしいのか。そしてベッドへと倒れて寝込んでしまっているものらとその傍にへといた常磐美利と咲乃深礼を瞬きするまでに弾き飛ばしてしまうことまでしていた。壁にぶつけられたがその壁というのは近かったのは幸運なのか不幸なのか。とりあえずは意識を失ってしまっているのは確実だ。しばらく起きないようには狙って力を込めていきやがった。それで永眠してしまっても構わないという動きではあったように見えたがそれがどうこちらの心象に影響するのか。

「言っただろう。実力が足りないのだよ。鍛え足りないというつもりはない。君のその強さなんていうのはもうそろそろ頭打ちだものな」

 既にベッドへと寝かせていたはずの者達は彼にへと奪われてしまっている。それを再びというのでどうにか飛び込んでいく青木あおき后河こうがである。

「いくら何でも自分の実力は………………わきまえていてそれかッ」

 そして彼はどこからともなく取り出してきた直剣で青木あおき后河こうがの心臓でも突いていこうとする。だがその一撃が届かないのはただ白骨の大きい塊がどうにか展開されているからこそ。それに押し当てたところで剣が折れなかったことは褒められること。

 だがそれで結局成し遂げるべきことまで進まなければいけないというのに到達できなかったとなれば問題の一つだ。彼の姿が目の前から消え去ってしまったことで攻撃を対象が消失してしまう。『白骨式・烈火』でも『白骨式・突化衝』でも『白骨式・布武』でも………………『白骨式・螺尖旋』でも恐らくはあれには勝てる気がしてくれない。いくら何でもあのままに居なくなられてしまえばそれを追いかけていくことに難しく感じられてしまうことだ。決して勝てるとは限らないことなんてまず挑めるだけの同じ戦場にいるからこそ、そんなことがいえるのだ。そうでなく、姿を消されてしまえば、まさかその痕跡でも辿って探ってでも位置の特定でもしておくべきだということなのか。だがそんなことなど誰が出来るというのか。

 通信環境が余りにも悪いこの現状。であればどうせ今更別の場所にいる皆と連絡を取ろうとしてそれが叶うはずもなく………………とか考えながらもとりあえずは少しの放心をしながらもそれを試みていた。で、繋がってくれたのだがら思わず怪訝な目をしてしまう青木あおき后河こうがだ。目の前に相手がいるわけでもないので本当にこれは誰に見せるでもないこと。

「なんでアンタとこんなにクリアな連絡なんてできるのか。もしかしてすぐ近くにいると」

『そっちがどこにいるのかなんて、こちらも正確な座標が取れているわけでもないですので深刻な状態であることには変わりでないですわよ。というか助けてくださいませんか。ピンチですので』

 まさか真っ先に行方の分からなくなった地海王ちかいおうくろうとの通話ができるなんて誰が思ったか。そもそもとして彼女とは本当にこの時間としてそう長くない付きあいしかできていない気がする。艦がでてしばらくの航行の分だけ。

 その後のどこからともなく飛んできた襲撃というのにへの対応などを迫られていた時点で、そこで出撃をしていって何処かも知れない空間にへと落ちていってしまってから別れてきり。

「えっ、ちょっとみんなどうしたのよ。そんな辛気臭い顔して………………ってなにその信じられないモノを見るような眼は」

 そしてここまでやってきた存在というのは藤樹礼那であったか。少しの間ではあるが部屋を出ていてバックの一つでも拾ってきた謎のそれ。これは青木あおき后河こうがが頼んできたものではあるが、それの中身というのはただ運ぶだけは危険ではないという確信を得ていることでそうしたということ。では始めから自分でここまで持ち込んでくればいいではないとかはいわないで欲しい。

「よかった無事で。特に危ない奴にでも遭遇してしまうことなくいられたのは幸運だから」

 青木あおき后河こうががその持ってこられたバッグの一つでも受け取ればその中から取り出していくのは情報保存媒体であるのか。どうしてもここにあるのなんていうのは理解していることなんてない。何せ取り出す方法が手元にはないだから困る。

「それでも使える物であれば全部使い込んでしまえればこそ」

 これからやろうとしていることを漠然ではあるが理解してしまったのだろう。当然そんな危ないことだろうと引き留めてくる者だってもこの場にいる他の三人全員であるのか。

「悪かったわよ。そう心配しないでもどうせ後でも間に合うはずだから」

 もう複数のベッドの用意の必要がなければわざわざここに留まっている理由もない。であればここにいる分は全員で離れていくことにしようか。

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