第52話 実行委員会再び

 公園の枯葉を掃く管理人のゴミ袋は4つにもなっていた。

 枯れ木は、ほぼほぼ裸になった。


 いつもの場所に、神山姉妹とるぅちゃんを除いた5名が集まった。


 不貞腐れた態度で天音琉空りくちゃんが尋ねた。


「彩希先輩、なんスか?瑠羽太るうたを捕まえる作戦っスか?」


 國枝彩希さきねぇ九条菜々花ボク達は、琉空ちゃんの言葉に何とも言えない気持ちで口をつぐんだ。


「アイツは、行方不明で連絡もつかない。そして、が言うには、Dr.ペストは仲間の中にいる。もうあいつが犯人じゃん」


 ボクは、目を見開き琉空ちゃんを睨んだ。


「るぅちゃんは、Dr.ペストじゃないもん!」


 琉空ちゃんは呆れ顔を見せた。


 そして……


「じゃあ……既にかもな。別に、ふざけてるとか意地悪を言ってるんじゃない。そう考えてもおかしくないだろ?皆も、少なからずそう思った事もあるんだろ?」


 皆、黙り込んだ。


 沈黙がやけに長く感じた。


 そんな中、乙羽野キリトキリちゃんが口を開いた。


「確かに、琉空の言った事は可能性もあるし、反論する理由も無い。けど……証拠も無い。そして、信じたくも無い。ここはひとつ、皆で瑠羽太が戻るのを待とう」


 キリちゃんの言葉に皆 小さく頷いたが、琉空ちゃんには響かなかった。


「待つ?どこにいるかも、犯人かも、死んでるかも分からない奴を?……俺は無理だ。少なくとも、この中にもDr.ペスト側の人間が1人いるんだ。もう誰も信用出来ない。俺は下りる……グループから抜けるよ」


 そう言って、顔を伏せた琉空ちゃんが涙目だったのを、キリちゃんは見逃さなかった。


「わかったよ、琉空。抜けても仲間には変わりないから。また学校でな」


 琉空ちゃんは、俯き無言のまま去って行った。


 皆も、無言で見送った。



「ところで、彩希姉ぇ今日は何の用事?」


 ボクは、明るく振舞った。


「あ、実はね、神山家のお父様から学校に連絡があってね、千春や桃ちゃんは学園祭を楽しみにしていたし、他の生徒さんにも迷惑を掛けたくないから、中止にしないで下さいと言ってくださったの。だから、学祭をやると学校が決断したの。今日、徳山杏子とくやま先生から連絡があったのよ。皆、まだ実行委員会として手伝って貰えないかな?」


 彩希姉ぇは、少しだけ緊張気味に尋ねてきた。


「い、いいですね!ぜ、是非やりましょう!」


 珍しく伊集院継治つぎちゃんもテンションを上げた。


「よーし……じゃあ、ちぃちゃんと桃ちゃんが喜ぶような学園祭を作るぞー!」


 ボクの号令に、皆 笑顔で手を挙げ賛同した。


 翌日の登校も決まり、学園祭実行委員会は、新たなメンバーを募集した。

 数名の生徒が、立候補して参加してくれる事になった。


 毎年と変わらず、2、3年生が学園祭を作り上げ、保護者と1年生に祭りを楽しんで貰う事になった。


 ボク達は、神山姉妹の為にも最高の学園祭を作ろうと誓った。




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