第4話 オープンテラス
賑わう学生達をよそに、
「あの、乙羽野先輩……クッキー焼いてみたので良かったら召し上がってください」
顔を赤らめた女子学生二人組が声を掛けてきた。
「ありがとう、頂くよ」
キリトが笑顔で答えると、二人組はキャーッと黄色い悲鳴をあげながら去っていった。
キリトは、センターパートの黒髪で眼鏡が似合う端正な顔立ち、今人気の若手俳優に似ていることもあり学内一の人気だ。
「キ、キリト君、ま、また貢ぎ物かい?」
キノコ頭でヒョロガリ、小脇にノートパソコンを抱え キリトの隣に座ってきたのは
「おっ、クッキーじゃん、いただき〜……うまっ」
「継治〜、パソコンばっかしてねーで彼女でも作れ、まじで」
桃子はクッキーを口にしながら、
「い、いや、ぼ、ぼ、ぼくは……」
「ぼくは、
桃子はニヤニヤしながら、2枚目のクッキーに手を出した。
キリトは、人差し指で眼鏡をなおすと、珈琲をひと口
「おーい!皆、大変じゃぁん!」
短髪でニキビ面の
「ビッグニュースじゃん!夕べ
琉空は息を切らして話した。
「り、琉空君は……ほ、本当賑やかだね……」
継治が苦笑いでパソコンを閉じた。
「本当か?!こんな小さくて平和な町で物騒な事件だね……」
キリトは驚いた様子で小説に
「し、し、
「胸を何度も刺されてグチャグチャだったらしいぜ」
琉空は目をキラキラさせ、興奮気味に話した。
「うわ、エグッ……てか、なんでワクワクしてんだよ!お前不謹慎過ぎ、まじで」
桃子は琉空の頭を叩いた。
「痛っ……ところで
「いや、琉空……お前同じクラスだろ」
一同呆れる……。
「
「ヒィィィ!!」
一同驚き、キリトの珈琲は白いテーブルの上に零れた。
ボクは、キリトの後ろでボーッと立っていた。
「菜々花、いつ来たんだ?」
「キリちゃんが小説読み始めた時……」
「え?……全然気づかなかった。てか、20分くらい前なのだが……」
キリトは苦笑いを浮かべ、人差し指で眼鏡をなおした。
「てか、気配を消せるとか妖怪かよっ……トイレの花子さんじゃん……」
「それ、見た目な」
いつもの琉空と桃子の漫才節に、皆笑った。
「ボクはオカッパ頭じゃないもん!ショートボブヘアだもん!」
ボクは、顔を真っ赤にして頬を膨らませた。
「よしよしボクっ
桃子はボクに優しくハグをした。
ボクは、席に座ると静かに口を開いた。
「あのさ……実は……ボク……その殺人現場にいたんだ……ちょっとトイレに寄っててさ……」
「え?……冗談、だろ?」
楽しい雰囲気は一変した。ボクが嘘をつかない事を皆分かっているからだ。
生ぬるい風が、オープンテラスを吹き抜けた。
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