第49話 集合


「ど、どうしてこんなぁ……ああっ」


 九条菜々花ボクは、神山千春ちぃちゃん無惨な姿を目の当たりにし、目の前が真っ暗になった。


 脱力してその場に膝から崩れ落ちた。



「な、菜々花!」


 天音琉空りくちゃんが、駆け寄ってきてボクの肩を押さえた。



「菜々ちゃん!」


 國枝彩希さきねぇ乙葉野キリトキリちゃんが、草むらから駆け寄って来た。


 異常な生臭さが鼻についた乙羽野キリトは、辺りを見回した。


「うわぁああっ!」


 大木に吊るされ、息絶えた神山千春かみやまちはるを目にした。


「いやぁああっ!ち、千春ぅ」


 國枝彩希も、変わり果てた親友の姿に吃驚きっきょうして倒れた。


 程なくして現れた伊集院継治いじゅういんつぎはるは、少し離れた所で足を止め立ち尽くし震えていた。


 これだけの人間が現れても尚、カラス共は千春の落ちた中身をついばんでいる。


 キリちゃんと琉空ちゃんが、落ちている木の枝を振り回し、カラス共を追い払った。


「な、菜々花ちゃん!さ、さ、彩希先輩!」


 継ちゃんは、地面に崩れているボク達を見てアタフタと駆け寄って来た。



「皆っ!何があった?大丈……なっ!」


 黒崎守刑事も、グループチャットを見て駆けつけた。

 そして、ちぃちゃんの無惨な姿に言葉を失った。


 しかし、直ぐに冷静を取り戻した黒崎刑事は、皆を集めた。

 ちぃちゃんには申し訳ないが、皆を落ち着かせる為に、ご遺体に背を向けるよう指示をした。


 皆、恐ろしくて仕方がなかった。何故こんな目に遭うのか……?

 Dr.ペストは、何が目的なのか?

 一体……誰なのか?


「今、署に連絡した。1、2、3、4、5……関君、関瑠羽太君は?」


 るぅちゃんは行方不明で連絡も取れない事を、キリちゃんが黒崎刑事に説明した。


 黒崎刑事は、目を瞑り腕組みをした。

 そして……


「皆、間もなく救急隊や警察が来る。証拠品として皆のスマホを没収されると、今後もっと大変な事になり兼ねない。今直ぐにこの場から立ち去ってくれ。またSNSで連絡を取ろう!」


 皆は、頷くと雑木林を抜け、それぞれの帰路に着いた。

 身も心もボロボロで、この日は誰もグループチャットに連絡してくる者はいなかった。

 ボクは、神山家の親御さんの気持ちを考えると、とても耐えられなかった。

 今夜は一睡も出来ない……と、誰もが思ったが、皆 深い深い眠りについた……


 ……現実から目を背けるように。


 そして、これから起こる事に備えるかのように……



 








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