第37話 Cafe
この街の小高い丘の上に、小さな喫茶店がある。『Cafe るしえる』知る人ぞ知る珈琲の銘店で、ファンも多い店だ。白塗りの壁に木製のドア、赤いサンシェード。まるで欧州の田舎町にありそうな異国
カウンターの後ろの棚には、
マスターの
そんな喫茶店で、
(やべえな……完全に遅刻だ……)
瑠羽太にとって、濱田は憧れの存在であり、遅刻なんかで迷惑を掛けたくない。
自転車を飛ばし、小高い丘を立ち漕ぎでフラフラと進んだ。
喫茶店の裏に自転車を停めると、荒い息を整え扉を開けた。
ちりんっ……とドアに付いている鈴の音が鳴る。
「いらっしゃいま……おぉ、瑠羽太か、遅かったな」
濱田は、笑顔を見せた。
「すみません!」
瑠羽太は頭を下げると、カウンターの裏へと向かう。
(お客さん結構入ってるな……)
「おう、瑠羽太!おせーぞ……遅刻とか仕事舐めてんじゃん?」
「え……?」
そう、声を掛けたのは
「は?……なんでお前がいるんだよ?」
よく見ると、席を埋めているのは千春を除くメンバー5人と黒崎刑事だった。
「うおっ!お、お前ら!……てか、なんでココでバイトしてる事知ってんだよ?」
「えへへっ、前に菜々花二人でとお前の後を着けた事があるんじゃん……」
琉空ちゃんは、ニヤニヤしながら答えた。
「ク、クソ……ストーカーかよっ」
顔を赤らめたるぅちゃんを見て、皆ゲラゲラと笑った。
「ユニークな友達じゃないか。さあ、早く着替えておいで」
マスターに促されると、るぅちゃんは顔をしかめて裏へと向かった。
待っている間、
「興味あるのかい?どうだい、中々のセンスだろ?」
マスターは、彩希姉ぇに微笑みかけた。
「ええ、とても素敵です」
彩希姉ぇは、頬を赤らめていた。
マスターは、とても温かく優しい笑顔をする男だ。
制服に着替えたるぅちゃんが、カウンター出てきた。
白いシャツに黒のギャルソンエプロン。普段の彼から、想像も出来ない格好だ。
「うわぁ……るぅちゃんカッコイイ!」
「なかなか似合うぞ」
「うるせー」
顔を赤らめたるぅちゃんは、グラスを磨き始めた。
ボクは、こんなやり取りをしていると、高校に入学した時のことを思い出す……いや、ボクだけではない……ここにいる全員がそうだろう。
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