第17話 学園祭実行委員会
2年A組の教室へ駆け込むと、このクラスの担任で学園祭実行委員会をまとめる
「遅いぞお前ら、待ちくたびれたわ」
徳山杏子は口は悪い。しかし、生徒に熱心に向き合う人気の美人教師だ。
「す、すみませんでした」
委員長の
「おっ、
徳山杏子は、
「うるせー」
瑠羽太は恥ずかしそうにそっぽを向いた。
「あ、それとお前出席日数足りてないからこれ以上授業サボると留年しちまうぞ」
「わーってるよ、ちゃんと出るよ……で、出ます」
徳山はクスリと笑った。
「それでは早速始めたいと思います」
委員長の彩希と、副委員長の
わりとスムーズに進み、30分ほどで係が決まった。千春が黒板に書き出す。
『委員長 』
『副委員長』
『情報システム』
『ステージ管理』
『広報』
「後はそれぞれ各クラスの委員長と
「うむ、いいんじゃない。お疲れ、國枝、神山」
徳山は、スマートフォンを弄りながら答えた。
「桃ちゃん、頑張ろぉね」
「だな」
「委員会のグルコミュ作ったんですけど、先生も入って貰えますか?」
「…………あー、私そういうアプリ入れてないから……連絡は電話かメールで頼むよ。悪いな、千春」
「あ、いえ。わかりました」
「よし、じゃあ休憩!九条と桃子、コンビニ行って飲み物でも買ってきてくれ。悪いけど、國枝と千春は資料
徳山は、財布から二千円を取り出すと、桃ちゃんに手渡した。
「わーい、ジュースだぁ。先生ありがとぉ。桃ちゃん行こう」
ボクは桃ちゃんの手をギュッと繋いだ。
「俺達も行こうか?もう外は暗いし……」
瑠羽太が二人をじっと見つめる。
「なんだ、そんなに菜々花が心配か?!キモっ、まじで」
桃ちゃんが、
「ギャハハッ、るうちゃんキモっだってぇ……デートだもんねぇ桃ちゃん、行こう行こう」
るぅちゃんの心配を
夜の校舎は、生徒達で賑わう昼間とは別の顔を見せる。しんっと静まり返り、白い壁は冷たく、行く先は闇に
手を強く握りしめあったボク達は、息を殺し速歩で校舎を出た。
正門はすでに施錠されている為、裏門から出て外周をまわり、学校の表通りへ出た。
街の灯りが見えると、ボク達は安堵して会話が戻った。
「今日寒いな……雨降りそうだし」
「桃ちゃんどうしよぉ、洗濯物外に干してきちゃった……」
「あ!そういえばお前……」
桃ちゃんは、何か思い出したようにボクを睨みつけた。
「
ボクは、身体がビクンと反応した。
「ど、どうしてわかったのさ……桃ちゃん怖いよぉ……」
ボクは焦ってアタフタした。
「千春が帰ったら話があるって言うからさ、あの話しかねぇだろ……それ、お前にしか話してないし」
「ひぃぃ、ごめんよ……だって仲良くして欲しくて……」
ボクは、上目遣いで桃ちゃんを見つめた。
「ったくしょうがねぇなぁ……まあ、でも、なんだ……ありがとな」
桃ちゃんは、照れたように視線を逸らした。どこか嬉しそうにも見えた。
信号が青に変わり横断歩道を渡ると、左手にコンビニエンスストアが見えてきた。
自動ドアが開くと陽気なチャイムが鳴り、店員の気力のない「いらっしゃいませ」が出迎えてくれた。
「ボクはこれ飲むぅ、コーヒー牛乳。桃ちゃんは?」
「うーん、私は炭酸飲料かな」
他のメンバーの分は、選べるように何種類か購入した。
「ボクは優柔不断だからさ、こういう時皆同じモノにするか、色々な種類を選ぶか悩むんだよねぇ……桃ちゃんは即決出来てすごいねぇ」
ボクは、桃ちゃんのテキパキとした行動に感心した。
「バカだな菜々花……バラバラに買って、男達が揉めるのが楽しいんだろ」
桃ちゃんはら意地悪な笑顔で答えた。
ボクは腹を抱えて笑った。(さすが桃ちゃん!皆を盛り上げるのが上手なんだよなぁ)
「さて、戻るか菜々花」
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