身から出た錆

「本当に長い話しになるから、美味しいお茶を飲みたい」

 よせば良いのにミハイルは言ってしまった。かんなの目の前で。

 当然かんなは、「ちょっと、あんた、ケンカ売ってんの? 良いわよ、売られたケンカは買うのが、かんな様のポリシーだかんね!」


 私は頭を抱え。一狼に救いの眼差しを向けた。


「かんな、雪彦と交換してくれないか? やっぱり、女同士の方が良いだろう」


「うん、分かった〜」


 かんなは、頷き素直に美咲様の所へ行った。

 助かった……のか? 美咲様をかんなに任せる事に一抹の不安がよぎったが、これ以上ここに居られて騒ぎが大きくなるのもまずい。

 雪彦が本当に美味しいお茶を持って現れたのは、きっかり二十分後だった。


「う~~ん、美味しい! 」


 支極、ご満悦なミハイルに私は、良かったなと言い、何でこんな事をしたのかと問うと。


「話は長くなるんだが、端折って云えばな……」




「よくも……私と云う者が有りながら、他の女と……!」


 ブルブル震えながら、まるで鬼の様な形相でミハイルを睨む女。


「ま、待て! 誤解だ! 俺様は浮気なんか、しとらん! 」


 女はミハイルに灯油を頭から振りかけ、ニヤリと嫌~な顔で笑うとライターを取り出した。


「ちょっとは、痛い思いをしなさい! 火傷して醜くなれば、女だって振り向かなくなるしね」


 そう云うと、ライターを灯油を被った、ミハイルの所へ投げた。





 「と、まあ、そういう訳だ」


 しょんぼりしてミハイルが黙り込む。私は馬鹿な男だと思ったが、口には出さなかった。


「其れで? だから、美咲様を襲ったとい云うのか? 」


 ミハイルは力無く、頭を下げた。


「ミハイル。いちいち人間を襲ってたら、次は私たちが狩られる番になるぞ。もっと、巧いやり方をしなければな」


「巧いやり方? 」

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