身から出た錆
「本当に長い話しになるから、美味しいお茶を飲みたい」
よせば良いのにミハイルは言ってしまった。かんなの目の前で。
当然かんなは、「ちょっと、あんた、ケンカ売ってんの? 良いわよ、売られたケンカは買うのが、かんな様のポリシーだかんね!」
私は頭を抱え。一狼に救いの眼差しを向けた。
「かんな、雪彦と交換してくれないか? やっぱり、女同士の方が良いだろう」
「うん、分かった〜」
かんなは、頷き素直に美咲様の所へ行った。
助かった……のか? 美咲様をかんなに任せる事に一抹の不安がよぎったが、これ以上ここに居られて騒ぎが大きくなるのもまずい。
雪彦が本当に美味しいお茶を持って現れたのは、きっかり二十分後だった。
「う~~ん、美味しい! 」
支極、ご満悦なミハイルに私は、良かったなと言い、何でこんな事をしたのかと問うと。
「話は長くなるんだが、端折って云えばな……」
「よくも……私と云う者が有りながら、他の女と……!」
ブルブル震えながら、まるで鬼の様な形相でミハイルを睨む女。
「ま、待て! 誤解だ! 俺様は浮気なんか、しとらん! 」
女はミハイルに灯油を頭から振りかけ、ニヤリと嫌~な顔で笑うとライターを取り出した。
「ちょっとは、痛い思いをしなさい! 火傷して醜くなれば、女だって振り向かなくなるしね」
そう云うと、ライターを灯油を被った、ミハイルの所へ投げた。
「と、まあ、そういう訳だ」
しょんぼりしてミハイルが黙り込む。私は馬鹿な男だと思ったが、口には出さなかった。
「其れで? だから、美咲様を襲ったとい云うのか? 」
ミハイルは力無く、頭を下げた。
「ミハイル。いちいち人間を襲ってたら、次は私たちが狩られる番になるぞ。もっと、巧いやり方をしなければな」
「巧いやり方? 」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます