吸血鬼のお好みは?
やがて、玄関から。
「ただいま~」
「今、帰りました」
「おーい、レッド。何処に居るんだ? 」
賑やかな声がして、奴らが帰って来た。
せっかく美咲様が寝た(?)と云うのに、そうデカイ声を出されては! 私は慌てて玄関へ出て行く。
「静かにしてくれ! 美咲様が目を覚ましてしまうじゃないか!」
非難の目で、皆を見つめるが、てんで、応えないのがコイツらだ。
「悪いなレッド。この……」
一狼が後ろに立って居る、ミハイルを入れて良いかと聞いてきた。
「何時までも玄関に居ても仕方ないから、入って貰え! 」
美咲様の件でかなり頭にきてる私はぶっきらぼうに返事をした。
「それで? 一体何が有ったと云うんだ。ミハイル・ドラキュ・オッペケハイマー君」
ミハイルが一番呼ばれたく無いフルネームで、皮肉たっぷりに話しを切り出した。
ミハイルは、何時もだったら顔を赤くして怒鳴り返すところだが、さすがにそんな元気は無さそうだ。
だが、「疲れたから美味しいお茶が飲みたい」と如何にもコイツらしい返事に呆れ果て怒る気力も無くす私。
「生憎、雪彦は彼女に付き添って貰ってるからな」
黙って話しの成り行きを見ていた一狼がそう言って立ち上がりキッチンへ行く。
十分ほどで、一狼とかんなが、お盆にお茶を乗せてやって来た。
凄く、嫌な予感がした私は、出されたお茶には口を付けなかった。
「おお、美味しそうだ。ん?飲まんのか? 」
そう聞いてきたミハイルに、後で飲むと云い、私は喉をゴクリと鳴らし見守った。
「ぶ~~っ!何だ、これは?! こんなのお茶じゃ無い! 泥水のほうが、なんぼかマシだ!」
やっぱり……かんながキッチンに居るから、そうじゃ無いかと思えば。あ~~飲まないで良かった。ホッとした私だった。
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