夜空に飛行鬼

 美咲はヒンヤリとした感触に包まれていた。まるで空を飛んでいる様なフワフワした感じ。


(……飛んでいる様な?!)


 パッチリ目を開けた美咲の目の前には愛しいレッドの顔。

 その、整った横顔にうっとりと見惚れていたが、先程から物凄い勢いで髪が乱れて息をするのも苦しい。


(やっぱりレッドに恋してるからだわ! )


 確信した美咲は、もっと良くレッドを見ようと体を動かそうとした。


(あら? 動かない……何で? )


 今度こそ、ハッキリ目が覚めた美咲が見たもの、それは――


「きゃ――!!なに? わたし、飛んでるぅ~~ 」

 レッドが美咲を大切そうに抱え夜空を飛んでいる。

 ――足元には東京の綺麗な夜景。


(マズイ! 目が覚めたか)


 激しく暴れる美咲様に危険を感じた私は、とっさに美咲様の唇を塞ぐ。途端に、静かになり恍惚の表情を浮かべるが、夜になったため出た牙に舌が当たった時、驚愕の表情のまま、気を失った。

(早く家に帰らなければ――)

 一層スピードを増し、殆んど下界の人間には判別が出来なかったであろう。




(やっぱり飛んで来た方が早かったな)


 普通に移動すれば、三十分の距離を3分の1でで着く。

 私達の棲みかである古びた洋館に、美咲様を連れて入る。

 この私達の棲みかが普通とは違う所。其れは、やたら部屋数が多い事。

 空いていて比較的、綺麗な部屋に美咲様を寝かせ、皆を待つ事にした。







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