お客様は神様です
――三十分後。
(おかしいな、時間に遅れる様な子では無いのに……)
待ち合わせの相手が待てども来ないので、痺れを切らした私は、携帯を取りだし電話をする事にした。呼び出し音の後、電話に出た彼女。
『あっ、レッド ごめんね。もうすぐ着くから待っててね~あ、あなたは?止めて!離して……』
突然電話が切れた。大変だ、彼女が襲われた! お客様は神様であるのをモットーにしてる私は、店を飛び出し彼女の元へと走り出した。
「ねえ〜レッド、どこに行くのよ! 」
後ろから、かんな達が追い掛けて来るが、足を止めずに走り続ける。
(五分と言ったから、そんなに遠くでは無い筈。もどかしいな、飛んだ方が早いか。)
さすがに人通りの多い所ではマズイと思い近くの公園の中へ。
(血の匂いがする――)
一歩、公園の中へ足を踏み入れた途端、まとわり付く血の匂いに足を止めた私。
「レッド! これは……」
匂いに敏感な一狼は、私と同じ方向に何かが居ると感じていた。
(ここは、慎重に行かねば、美咲様(お客様)に危害を及ぼすかも……)
ゆっくり確実に近付く筈が。
「レッド〜どこにいるのよ! 一狼も!」
かんなのお陰で意味がなくなった。ならばと匂いの元へと走る。
そこには、美咲様が訳の判らない怪物に襲われている所だった。
「美咲様から離れろ! 」
怒鳴りながら、怪物に向かい牙を出して威嚇する。
突然現れた、正義のヒーロー? に、首に噛みついていた怪物が顔を上げてポカンとした顔で話しかけて来た。
「レッド? お前は、レッドじゃないか! 」
こんな醜い奴など知らない! だけど聴いた事のある声だ。
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