吸血鬼のお仕事は?
「ひっ捕えるって言っても、時代劇じゃ無いんだから」
いつ何時(ナンドキ)でも、ツッコむ事を忘れない雪彦が言う。
「いや、意外と的外れじゃ無いかも知れないぞ」
人の意見に、満月の日以外は耳を傾ける一狼は、冷静に意見を述べた。
私はといえば、仕事の時間が迫っていたので、もうどうでも良い様な気分になっていた。
「そろそろ行かなくては。仕事に遅れてしまう」
こう見えても、私はホスト『深海の鮫』のNO.1である。
皆に言えば、かんな以外は快く承諾してくれ、いざ、お客様の所へ行かん。と立ち上がった時。
「ふ~~ん。レッドは、身の潔白を証明したく無いんだ?」
(かんな……勘弁してくれ)
心の中で散々悪態を付いてから。
「兎に角、待ち合わせ場所までは行かなくてはならないんだ。お客様は神様なんだよ。働いた事の無いかんなには分からないと思うが……」
「う~分かったわよ。じゃ、あたしも付いて行くかんね!」
そう云うと思った。かんなには何言っても無駄だと分かっている。ここは、子守りを連れて行かなくては――
「一狼と雪彦も一緒に来てくれるんだろう?」
チラリと二人を見やると、二人とも溜め息を付き頷いた。
「良いか? ここでおとなしく待っててくれよ」
ファミレスの席に着くなり、私は向かいのお洒落な喫茶店へ行こうとした。かんなはブーブー文句を言っている。
「良いな~レッドだけお洒落な店で、美味しい物食べれて」
「ここだって、美味しい物は沢山有るぞ。まあ、雪彦の料理には負けると思うがな」
一狼がフォローしている間に、早速お客様の元へと急ぐ。
居ない――! もしや時間に遅れたのかと時計を見れば、まだ待ち合わせの時間までは間が有ることが分かり、ホッとして席に着く。
今日の同伴の相手を思い浮かべ。さて、どういうサービスをしようか考えていた。
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