濡れ衣



 テレビの画面を追いつつ、トマトジュースを飲んでいたら夕方のニュースに切り変わった。

 ニュースキャスターが、淡々と今日の出来事を視聴者に伝えている。

 と、画面が切り代わり事件を報道し始めた。


『昨夜起きた障害事件の続報です。N町で昨夜10時頃。犬の散歩に出てた会社員が、公園のベンチで何者かに暴行された女性を発見し、警察に届けでました。駆け付けた警察官によると、死体の首には何かに噛まれた様な痕があり……』


『首に咬み痕』だって? 余りの出来事に呆然としてた私に。


「ほら、やっぱり違うだろ?」と一狼が皆に諭す様に言った。


(やっぱりって……)


「まさか、お前達。私を疑ってたのか」


「ゴメンね~レッド。だって首に咬み痕なんて言うから」


「ごめんなさいレッド。つい……」


 口々に謝ってくる、かんなと雪彦に、怒りが沸々と沸き上がってくる。


「首に咬み痕だったら、私じゃ無くたって、もう一人居るだろ!」


 つい口からそんな言葉が出たのも怒りの為だからだ。だのに、一狼の顔色がサッと変わった時、マズイと思ったのは、私だけじゃないはず。


「俺が何だって? レッド……」


「い、一狼さん。誰も一狼さんがやったとは言ってませんよ」


 雪彦が懸命になだめる。


「そうよ、一狼。誰か……そうだ! 他に吸血鬼が居るのよ。そうと決まれば、早速犯人をひっ捕えなくちゃ!」


 私はかんなが、また暴走するのを予感して頭が痛くなってきた。





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