濡れ衣
テレビの画面を追いつつ、トマトジュースを飲んでいたら夕方のニュースに切り変わった。
ニュースキャスターが、淡々と今日の出来事を視聴者に伝えている。
と、画面が切り代わり事件を報道し始めた。
『昨夜起きた障害事件の続報です。N町で昨夜10時頃。犬の散歩に出てた会社員が、公園のベンチで何者かに暴行された女性を発見し、警察に届けでました。駆け付けた警察官によると、死体の首には何かに噛まれた様な痕があり……』
『首に咬み痕』だって? 余りの出来事に呆然としてた私に。
「ほら、やっぱり違うだろ?」と一狼が皆に諭す様に言った。
(やっぱりって……)
「まさか、お前達。私を疑ってたのか」
「ゴメンね~レッド。だって首に咬み痕なんて言うから」
「ごめんなさいレッド。つい……」
口々に謝ってくる、かんなと雪彦に、怒りが沸々と沸き上がってくる。
「首に咬み痕だったら、私じゃ無くたって、もう一人居るだろ!」
つい口からそんな言葉が出たのも怒りの為だからだ。だのに、一狼の顔色がサッと変わった時、マズイと思ったのは、私だけじゃないはず。
「俺が何だって? レッド……」
「い、一狼さん。誰も一狼さんがやったとは言ってませんよ」
雪彦が懸命になだめる。
「そうよ、一狼。誰か……そうだ! 他に吸血鬼が居るのよ。そうと決まれば、早速犯人をひっ捕えなくちゃ!」
私はかんなが、また暴走するのを予感して頭が痛くなってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます