第6話 白い風



雨上がりの朝

危険を承知で林道へと向かう


ヘルメットを被る前に深呼吸をすると

雨に洗われた風の香りが清々しい


国道から山道に入り

濡れたアスファルトに滑らぬよう

速度を一気に落とすと


目の前に広がってくるのは

雨上がりの霧


視界がどんどんと悪くなっていき

危険を察知した私は

二輪を停めてヘルメットをハンドルに掛けた


その時

一陣の風が山を渡った

林道の上の霧が舞い上がるようにロンドする


濃厚な霧の朝

ここでは風の流れが目に見える

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