第2節 夏 旅立ちの季節 流星群

またひとつ流れた星。

その光には誰かの願いがのっているのだろう。今夜は流星群だ。夏の夜の涼しさに吹かれながら夜空を一緒にみる約束をした。

十分前までは話していたが電話からは君の吐息の音がする。電話の先の君はもう寝ているだろう。君が次に日を浴びるときには僕はもう旅立っている。この電話が最後の電話だ。

次はいつになるかわからない。手紙は送れるが宿をとる場所が転々とする僕には君の字は見れない。これがどれだけ辛いことか考えるだけでも少し胸が窮屈になる。

もう明日は早いから寝ないといけない。ただこの電話を切るだけでどれほどの覚悟が必要か。いいたいこともある。

一緒にしたいこともある。

ただ自分の夢のために君を手放すかもしれない覚悟が一番重たい。

彼女の「ずっと待っている」の一言

それを心の杖に電話を切った。

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