第23話 別れ23p
死神、そんなもん存在するのか。
とても信じられない。
「信じられないって顔ね。でも、そういうものが確かにあるのよ」
「はあ」
俺は、曖昧に頷いた。
「さっき話した通り、多田野さんに死の運命が待っている事を話してしまった事を私は後悔しているの……とても、ね。言うべき事じゃ無かった。あの時はどうかしてた。彼の目を見ていたら、話してもいい気がして……けど、それは間違えだったのよ。たとえ彼の望んだことでも、私は言うべきじゃなかった。彼は、知らずにいるべきだったのよ。その方が幸せだったに違えないわ。でも、私は彼に死を告げてしまった。私は残酷な事をしたのよ。その事に、私は責任を感じているのよ」
俺は言葉が出なかった。
こんな事を言われて、何を返せばいい。
それを言われたら、あの時、俺だって、占いの結果を知りたがる季夜を止めて占いの館を出ていれば良かった。
静まり返った場に、再び占い師の声が響く。
「だからあなたが来るのを待っていたの」
「俺が此処に来ると思ったんですか?」
「ええ。必ず」
「それも占いですか?」
「ふふっ、ただの感よ」
「はぁ……」
「多田野さんに私は申し訳ない事をした。だから、償いがしたいの。これを」
占い師が俺に手を差し出した。
「受け取って」
言われて、俺は、占い師の手の下に自分の手のひらを広げる。
すると、占い師の手から、何かが落ちて来た。
手のひらに落ちたそれを見ると、小さな涙型の水色の石の付いたネックレスだった。
「何だよ、これ」
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