第21話 別れ21p

「運命って何だよ。そんなもんがあるなら俺の運勢、大外れじゃねーか! あんた、俺に良い事があるって言ったよな、何だよ! 季夜が死んだんだぞ! 何が良い事だよ! この運命の何が良い事なんだよ!」

「あなたを占った時、あなたに、何かショックな事がある暗示が出ていたのよ。あなたがそんなに取り乱しているならお友達の死がそれだったのね。大事な、大事なお友達だったみたいね。あなたにも、お友達にも、私は残酷な事をしたのかも知れない。何もかもありのままに伝えるのが占いではないわ。ごめんなさい」

 占い師が深く頭を下げる。

 おれは項垂れた。

 目の前がくらくらして、景色がゆがんで見える。

 俺は、ここで何をやってるんだ。

 無力感で全身から力が抜けてゆく。

「座ってちょうだい。話しがあるわ」

「話し?」

 俺は顔を上げて占い師を見た。

「そう、大事な話し。お茶でも入れるわ。座って待ってて」

 そう言うと占い師はカーテンをめくり、ブースから出て行った。




 俺は占い師に勧められるまま椅子に座り、ぼうっとしていた。

 体に力が入らなくて、指先一本動かすだけでもやっとだった。

 ふと、目線で壁を見ると、丸い時計が掛かっていて、時間は夜の九時を過ぎていた。

 ブースに漂う香の香りが鼻に付く。

 俺は、こんな所に来て本当に何をやっているのか。

 帰ろうか……そう思った時。

「お待たせしました」

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