第20話 別れ20p
占いの館はしんと静まり返っていた。
受付には誰もいない。
しかし、明かりはついている。
誰かがいるはずだ。
俺は、まっ直ぐにカーテンの閉まった占いのブースへ向かうと勢いよく、カーテンを開いた。
果たしてそこに、あの占い師はいた。
俺と季夜を占った占い師。
占い師は侵入者の登場に驚いた様子も見せず、俺を透き通った目で見つめている。
俺の心がざわつき始める。
無性にムカついて仕方がない。
「今日はもう店じまいですよ」
占い師が静かに言う。
俺は拳を握りしめた。
「そんなの知るか! 季夜が死んだんだ! あんたの占いの通りに死んだんだ!」
俺は声を荒げて言った。
占い師は落ち着いた様子で、「そうですか」と答えた。
占い師の落ち着きっぷりに俺の頭に血が上る。
「何を落ち着いてるんだよ! あんたのせいだ! あんたの占いのせいで季夜が死んだんだよ! この、人殺し!」
そんな訳無い。
季夜が死んだのは、信号無視の車のドライバーのせいだ。
そんな事は分かっているのに、俺の口からは占い師を罵る言葉が溢れてくる。
「彼が亡くなったのは私のせいでは無いわ。申し訳ないけど、彼の運命だったのよ」
季夜が死んだのは占い師のせいじゃないのは分かってる。
でも、運命って何だ。
そんなの誰が決めたんだ。
あんな良いやつが交通事故で死ぬ運命なんて認める訳にはいかない。
そんなのあってたまるか。
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