第18話 別れ18p
雨が降り出したのは交差点で信号待ちをしている時だった。
ぽつぽつと降り出した雨は直ぐに、ざーざーと音を立て始めた。
一人、また一人と傘を広げ始める。
俺は傘何て持っていなかった。
何せ天気予報何か見ちゃいない。
俺は信号を渡る事を諦め、直ぐ近くのカフェに駆け込んだ。
何処にでもあるチェーン店。
季夜と入ったことは無かったが。
カフェに入ると店員の、「いらっしゃいませ!」の明るい声。
俺は入り口で立ち止まる。
しかし、後から入って来た客が迷惑そうな顔で俺の後ろにいるので受付カウンターで適当にコーヒーを注文して代金を払うと注文したコーヒーを受け取り席に着いた。
革張りの椅子の座り心地が意外に良かった。
俺はため息を吐き、コーヒーに目を落とす。
コーヒーからは白い湯気が細く立ち上る。
俺の視線はコーヒーから窓へと移った。
大きな窓からは流れる様に色とりどりの傘が通り過ぎるのが見える。
そんな景色を、ぼうっと見ていた。
頭の中は空っぽで、ただ外の景色を見ているだけだ。
ああ、コーヒーがあった。
そう思って白い陶器のコーヒーカップを両手で包む。
手の感触に温かさは無かった。
コーヒーはすっかり冷めていた。
カフェには俺と同じく雨に濡れた客がどんどん入って来た。
やがてカフェの中が騒がしくなるくらいになると俺はたまらず、まだ雨の降る外へ抜け出した。
雨は、しとしとと降っていた。
出来るだけ濡れない様に雨宿りを繰り返して歩いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます