第16話 別れ16p

 星の無い暗い空の下を歩きながら、俺は何だかムカついて来た。

 どうしてこんな事になったんだ。

 季夜が何かしたか。

 いつも明るくて、笑ってて、優しくて、照れ屋で、モテる癖に彼女もいなくて。

 いつもビーチサンダル履いてて。

 冗談が好きで。

 俺のたった一人の親友で。

 何も悪い事なんてして無い。

 良い奴で……。

 そんな奴が事故で死ぬなんて、この世に神様何てもんがいるなら、そいつは大馬鹿だ。

「馬鹿野郎!」

 気が付けば俺はそう呟いていた。




 何をどうしたのか分からないが気が付けば俺は自分のアパートの部屋にいた。

 安いパイプベッドにうつ伏せになり身を沈めている。

 何も考えたく無かった。

 体が妙に重たい。

 疲れて疲れて仕方がない。

 なのに眠れない。

 泥に沈む様に眠りに落ちてしまいたいのに目だけ冴えているのだ。

 そのまま時間だけが過ぎてゆく。

 次の日、俺は大学を休んだ。

 何をする訳でも無く、ただ布団を被りベッドに沈んでいた。

 こんな日が三日続いた。

 四日目。

 ベッドからのそりと下りて床を踏んだ。

 ひんやりとした足の感覚。

 畳みというのはこうも冷たいものか。

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