第13話 別れ13p

 その下らない話で季夜と笑い合って。

 季夜は不思議だ。

 季夜がいるだけで俺は明日という日を楽しみに出来る。

 俺の足取りが軽くなる。

 明日。

 また明日。

 温かい一日がやって来る。

 今日の続きが待っている。

 風が吹く。

「ううっ、寒っ」

 俺は震える。

 家に帰ってシャワーを浴びて、早く寝よう。

 明日の大学の講義は午前からだ。

 スマートフォンが震えた。

 俺はスマートフォンの画面を覗く。

 季夜からのチャットだ。


 ビーサン片方無くした。

 裸足で歩いてる。


 との事だった。

「何やってんだよ」

 可笑しくて笑いが込み上げてくる。

 明日も、またこんな感じで俺は季夜を笑うんだろう。

 明日。

 また明日に。

 明日が来て、また明日が来て。

 一年何か、きっとあっという間だ。

 俺は、季夜は一年後、どうしているだろうか。

 風が吹いた。

 裸足の季夜の事を思う。

 裸足で街中を歩くとはどんな感じか。

 明日、季夜に訊いてみよう。

 気が付けば俺の住むアパートはすぐ目の前にあった。

 俺は速足で自分の住み家に入る。

 玄関扉を閉めて、もたもたと靴を脱ぐ。

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