第9話 別れ9p

 占い師は季夜の顔をじっと見つめた。

 そして、小さく頷いた。

「多田野さん。あなたに、死の暗示が出ています。とても強く。あなたに……逃れられない死の運命が待っています」

 占い師は、そう答えた。

 季夜が死ぬ。

 運命って……。

 何だそりゃ。

 どうかしている。

 一体この占い師は何を言ってるんだ。

「おい、あんた、冗談にしても質が悪いんじゃないか?」

 俺は言ってやった。

 季夜が死ぬだなんて、そんな事あるはずがない。

「私は決して冗談は言いません」

 占い師は鋭い目つきで俺を見て真面目な顔で言った。

「でも、そんなの、ただの占いだろ!」

 俺はテーブルを拳で叩く。

「まあ、落ち着けよ住原」

 季夜の手が、俺の拳を包み込む。

「季夜、これが落ち着いていられるかよ! 友達が死ぬだなんて言われて、どうして落ち着いていられるって言うんだよ!」

「ただの占いだろ。俺は気にして無いよ。それに、人間、いつかは死ぬ運命だ」

 冗談っぽくそう言って季夜は俺に笑って見せると俺の拳から手を離す。

「あの、俺が死ぬとして、いつ頃死ぬとかって分かるんですか?」

「ええ、分かります」

「教えて下さい。俺はいつ死にますか」

「ちょっと、季夜!」

「良いんだ住原。この際知りたいんだよ。あの、俺は、いつ死ぬんですか」

 季夜はあくまでも平静そうに占い師に訊ねた。

 占い師は静かに季夜を見つめている。

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