第9話 別れ9p
占い師は季夜の顔をじっと見つめた。
そして、小さく頷いた。
「多田野さん。あなたに、死の暗示が出ています。とても強く。あなたに……逃れられない死の運命が待っています」
占い師は、そう答えた。
季夜が死ぬ。
運命って……。
何だそりゃ。
どうかしている。
一体この占い師は何を言ってるんだ。
「おい、あんた、冗談にしても質が悪いんじゃないか?」
俺は言ってやった。
季夜が死ぬだなんて、そんな事あるはずがない。
「私は決して冗談は言いません」
占い師は鋭い目つきで俺を見て真面目な顔で言った。
「でも、そんなの、ただの占いだろ!」
俺はテーブルを拳で叩く。
「まあ、落ち着けよ住原」
季夜の手が、俺の拳を包み込む。
「季夜、これが落ち着いていられるかよ! 友達が死ぬだなんて言われて、どうして落ち着いていられるって言うんだよ!」
「ただの占いだろ。俺は気にして無いよ。それに、人間、いつかは死ぬ運命だ」
冗談っぽくそう言って季夜は俺に笑って見せると俺の拳から手を離す。
「あの、俺が死ぬとして、いつ頃死ぬとかって分かるんですか?」
「ええ、分かります」
「教えて下さい。俺はいつ死にますか」
「ちょっと、季夜!」
「良いんだ住原。この際知りたいんだよ。あの、俺は、いつ死ぬんですか」
季夜はあくまでも平静そうに占い師に訊ねた。
占い師は静かに季夜を見つめている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます