第10話 別れ10p
他にも客はいるはずなのに場は嘘みたいな静けさだ。
俺の心の中だけ、ざわざわと嵐の前触れみたいに騒がしかった。
占い師は、ためらったように少し黙って季夜の顔を見ていたが静かに口を開いて答えた。
「一週間後です」
一週間後。
そんなに直ぐに。
「そうですか」
季夜は宙を見て、それから、「それは変えられない事ですか」と占い師に訊いた。
占い師は下を向いて「残念ですが、変えられない運命です」と答えた。
「そうですか、ありがとうございました。お題は払います。行くぞ、住原」
季夜が席を立ってブースを出て行った。
「待てよ、季夜!」
俺は慌てて季夜の後を追った。
季夜は占いの館の外で俺を待っていた。
季夜は店の出入り口の扉の直ぐ側の階段の踊り場の手すりにもたれかかってぼんやりと空を眺めている。
俺は季夜に何て声を掛けたら良いのか分らずに頭を掻いた。
俺がいる事に気が付かないのか何なのか、季夜は俺の方を向かない。
数秒後。
「ああ、住原か。先に出て来て悪かったな」
季夜が、バツが悪そうにそう言った。
「別に、いいよ。それより、大丈夫かよ」
「何が?」
「何がって、さっきの占いだよ。あんな事言われて、お前ショックとか受けたんじゃねーの?」
季夜は困った様な表情を顔に浮かべる。
俺の顔も困り顔に変わる。
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