第8話 別れ8p
占い師は完全に取り乱していた。
「一体何なんだよ、あんた。季夜のプロフィール用紙を見てた時からずっと様子がおかしかったし」
呆れかえって俺は言う。
季夜は、俺の横で、ため息をついた。
「そうですね。あなたの様子は俺から見てもおかしく思えました。あの、俺は何を言われても驚きませんから、何かあるなら言って貰えませんか。そうでなきゃ、このままじゃ安心できないです」
季夜はとても落ち着いた声で、優しく占い師に話した。
占い師は季夜の目を、じっと見る。
占い師のその目は、まるで、季夜の全てを覗き込んでいるかのようだった。
やがて、占い師はため息一つつくと、椅子に着いた。
「多田野さん、分かりました。あなたには、覚悟があるのですね」
「何の話ですか。俺は、ただ、占いの結果が知りたいだけだ」
季夜は笑みを浮かべて言う。
「強い方ですね、多田野さん。では、お話しましょう。止めるなら今ですよ」
「止めません。どうぞお願いします」
占い師は苦笑いをしてから真面目な顔を作り、「お伝えする前に、念には念を入れて、水晶でも占ってみましょう」と言って水晶玉に手を当てた。
俺は水晶玉を見て見る。
しかし、何も見えない。
占い師には、何かしら見えているのだろうか。
「はぁ……やっぱり」
占い師が、水晶玉から手を離し、がくりと肩を落とす。
占い師の表情はとてつもなく暗い。
「あの、何なんですか?」
季夜が訊ねる。
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