第7話 別れ7p

「多田野さん。あなた、今、悩みは?」

 占い師に訊かれて季夜は首を横に振る。

「特に無いですね」

「そうですか……では、何について占いましょうか?」

 訊かれて季夜は首をかしげて見せてから、「じゃあ、運勢を占って下さい」と言った。

「何だよ、俺と同じじゃねーか!」

「あはは。そうだな。まぁ、良いじゃんか」

 人の事を散々笑ったくせに何だよ、こいつ。

 むくれる俺と笑顔の季夜を前に、占い師は凍り付いた顔をしてカードをかき混ぜた。

 さっきの曇った目といい、この凍り付いた顔といい何なんだ。

 占い師は黙ってカードを纏め、テーブルの上に一列に並べた。

「さあ、多田野さん、この中から三枚カードを選んで下さい」

「はい、分かりました」

 季夜は迷わずに三枚のカードを選ぶ。

 占い師がそれを表に返す。

「こ、これは!」

 占い師が立ち上がる。

「な、何ですか?」

 季夜がビックリした顔でカードを見ようとする。

 すると、占い師がカードを素早く裏返して他のカードとかき混ぜてしまった。

「あんた、何やってるんだよ!」

 思わず俺はそう言った。

「多田野さん、それと住原さん、お代は結構ですからもうお帰り下さい」

「はぁ?」

 何だよそれ、訳が分からない。

「あの、どういう事ですか? 俺の占いの結果に何かあるんですか?」

 季夜が落ち着いた口調で訊く。

「それは、答えられません。兎に角お帰り下さい」

 占い師が叫ぶ。

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