第2話 別れ2p

「なぁ、あそこ入ってみないか」

 俺は突然、占いの館を指さした。

 ここは一つ、冷やかしにでも占ってもらうかくらいの軽い気持ちで提案した。

 最近ツイてない俺。

 最近どころか生まれてこの方、ツイていると感じた事は無かった。

 唯一、ツイているという言い方をすれば、大学に入って季夜と友達になれた事、くらいだ。

「ええーっ、占いかよ。お前って意外に乙女チックなんだな」

 季夜は、にやにやしながらそう言った。

 俺は慌てる。

「なっ、違うって! 占いが趣味とかじゃ無くって、何となく入らねーかって言っただけじゃん!」

「何慌ててんだよ。ほら、行くぞ」

 季夜は笑いながら占いの館へ続く階段を上り始めた。

「え、ちょっと!」

 自分で提案しておいて躊躇う俺の足は動かなかった。

 季夜はもう占いの館の扉を開けて店の中だ。

 俺は頭を掻いた。

 そして、深いため息を吐く。

 俺は季夜の後を追う。

 階段を上り切ると目の前の小さな看板には薄紫色のチョークで、占いの館、と何とも乙女チックで可愛らしい文字が書かれていた。

先程乙女チック呼ばわりされた事が脳裏に蘇る。

不機嫌な顔をした俺は占いの館に足を踏み入れた。




 占いの館の中は狭く、薄暗く、怪しい音楽が掛かっており、おまけに立ち込めるお香のスパイシーな香りで満ちていた。

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