五分と三角の時間に虹
円間
第1話 別れ1p
俺の名前は住原大(すみはらだい)。
自分で言うのも躊躇われるが、怠け者で平凡で冴えない大学二年生。
俺の隣にいるビーチサンダルの男(今は二月だ)は多田野季夜(ただのきよ)。
同じ大学の二年生。
季夜は俺の親友だ。
その親友と二人、休日に暇を持て余し、昼間の街をぶらぶらと歩いていた。
季夜と歩くと、まるで磁石に吸い寄せられる砂鉄みたいに通行人がこちらを見てくる。
季夜は長身で透ける様な茶色いさらさらの髪に、すっきりとした顔立ちをしていてなかなかカッコ良かったから、こうして視線を集めてしまうのだ。
そう、季夜はモテた。
性格も良い奴だから女にも男にも大モテである。
「なぁ、住原、これからどうしようか? 映画でも観るか?」
周りの視線を気にしている俺に、季夜が言う。
「え、映画? 気分じゃねーなぁ。て言うか、お前、相変わらず凄く見られてんな」
あえて指摘してやると、季夜は周りを見回して、「そうかな?」と、頭にクエッションマークを浮かべる。
全く、自覚無し、と来たもんだ。
俺は呆れた。
「そんな事より、なぁ住原、どこ行くよ」
「うーん、そうだな」
周りの季夜を見る目もうざったいしカラオケでも行くかな。
そうぼんやり思っていると、占いの館の看板が目に入った。
占いの館は小さなビルの二階にある様だ。
ビルの外側にある赤い色に塗られた鉄の階段がそのまま占いの館の入り口まで続いていた。
占い……か。
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