2杯目~みんな消えてしまった~

~前杯までのあらすじ~

魔王との決戦前夜、宴をひらいた勇者ハング・オーバーマン一行。宴の盛り上がりが最高潮になった時、特別に用意された伝説級の魔酒「魔王殺し」を飲んで意識を失ってしまう。

果たして彼らの運命は!?勇者ハング・オーバーマンの波乱に満ちた冒険の幕開けである!!




「アイタタタ、頭が割れそうだ。えっ…と、ここは…どこだろう」


気がつくと彼の眼前に見渡す限りの大平原が広がっていた。そしてそこに仲間たちや町人たちの姿はなく、なぜか身につけていた衣類や下着、伝説装備がすべて消えていた。


「一体なにがあったんだ!?みんなは、僕の装備はどこにいってしまったんだ?

しかもなんで全裸なんだぁぁぁぁぁッ!!!」


ハングは激しく混乱しながらも入念な全身チェックを行う。


(よかった。とりあえず乱暴された形跡はなさそうだ…)


「うーん、とりあえずこのままでは埒があかないぞ。近くに村や町はないだろうか?」


ハングは広い平原を歩きはじめた。しばらく当てもなくさまよっていると、小さな村を発見した。


「しめた!ここでなんとかして着るものと装備を一式手に入れないと!」


(でもこんな格好じゃ流石にまずいな…。今もし村の人に話しかけようものなら、

不審者扱いされて下手したら逮捕されてしまうかもしれない)


ハングがしばらく身を潜めながら村の様子を伺っていると、防具屋を発見する。


「よし、こうなったらちょっとワケを説明して、まず防具と着るものを確保しよう!」


ハングはそう決心し勢いよく入店する。


「いらっしゃいませ~♪フェアリー☆スマイルがとってもファンタジーな防具屋の看板娘、ツマミ・サケーノでーす!お客様、本日はどのような防具をお求めで……ってきゃあああああッ!!!」


悲鳴をあげたツマミは、目を両手で覆いながらも、バッチリその隙間からハングの

股関を凝視する。


そのホットなアツい視線を感じたハングは、頬赤らめながらとっさに自分の○○○を両手という名の鞘に納め、必死に叫んだ。


「お、お、おおお嬢さんッ!こんな格好で信じてもらえないかもしれないけど、僕はハング・オーバーマン!世界を魔王の手から救うために、仲間たちと旅をしている勇者なんだ!」


自分の○○○を汗ばむ両手で覆いながら必死に説明するハング。


「きゃあああ!イヤー!誰か助けて~。『勇者様を名乗るヘンタイさん』に乱暴されちゃうよ~!まだ処女なのにぃぃぃぃぃっ!・・・・・いいわ、覚悟が決まった。覚悟完了…さぁ!ツマミの体に思う存分、恥辱の限りを尽くしない!満足するまでその汚ならしい劣情を吐き出すといいわ!ツマミが全身全霊で受け止めてあげる!でもこれだけは忘れないで…、体を好きに出来てもココロだけは、この『輝くピュア☆マイハート』だけは、絶対にアナタのモノにはならないということを!!」


「ちょっ、ちょっと待って!ちゃんと僕の話を聞いてくれ!これでも聖剣に選ばれた勇者なんだよ!証拠だって…いや、今は見ての通り証明できるモノなんてないんだけど…」


ハングの○○○をつつむ両手になぜが力がこもる!


「聖剣に選ばれた勇者?その下の立派な『エクスカリバー』でツマミにナニするつもりなの!?はぁはぁはぁ、いいわ…わかった、オーケー、…アンダースタンド。アナタのそのミラクルカッコいいエクスカリバーで貫かれて聖女に、じゃなくて『性女』になってあげるわ!さぁ!!さぁさぁさぁさぁさぁぁぁぁぁっ!!!」



「あーーー!頼むから信じてよ!実は寝込みを魔王の一味襲われて、身ぐるみを全部剥がされてしまったんだ!お願いだ!世界を救うために、僕はどうしても伝説の装備を取り返さなくてはならない!そのためにもまず最低限の装備が必要なんだよ!!…あと出来たら下着と服も」


その場しのぎで思いついた嘘を交えながら、必死に弁明を続けるハングに対し、ツマミの警戒心は徐々に薄れはじめる。


「ほ、本当に勇者様なんですか?…確かにこんな妖精さんみたい可愛いツマミに

対し、乱暴する素振りを一切見せない『ジェントルマン』な様子からして、十分信用するに値するかもしれませんね!」


(ふぅ~やっと信じてもらえた…のかな?)


「おほん、取り乱してしまい申し訳ありませんでした!改めまして多忙な父に

代わりこのホロヨイ村の防具屋の店長をしております、看板娘のツマミ・サケーノでーす♪」


「改めまして、僕は勇者ハング・オーバーマン、魔王倒すため旅をしている者さ。

それでちょっとお願いしたいことがあるんだけど、その…、見ての通り無一文なんだけど、この格好だと外もろくに歩けないし、何か着るものと防具を一式譲って貰えないかな?あっ!もちろん、あとでちゃんと代金以上のお礼もさせてもらうつもりだよ!」


「勇者様、心配なさらないでください!先程のご無礼な振る舞いのお詫びとご立派な『聖剣エクスカリバー』を拝ませていただいたお礼に、下着と服と防具一式を無償で用意させて頂きたいと思います!」


勇者はひどく赤面した。


その後ツマミは、下着と服に加え鋼の装備一式を、そして旅の助けになればと5000ゴールドの入った袋をハングに渡した。


無事下着と服と防具だけでなく、5000ゴールドを手に入れたハングは防具屋をあとにする。


「さて、次は武器だな。5000ゴールドもあればそれなりの武器は用意出来そうだけど…」


ハングは武器屋へと向かった。(つづく)





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