親友の推しは誰だ!?

砂藪

親友の推しは誰だ!?

「私、推し活してるの」


 仲のいい友人の美琴からの急な話に私はあんぐりと口を開けた。


「ほんと? 美琴って文学が恋人みたいな感じだったじゃん」

「そうなんだけど……最初はちらっと見た程度だったのに、いつの間にか、あのつぶらな瞳の虜になっていたの」


 なるほどなるほど。

 つぶらな瞳っていうことは、美琴の推しはさしずめ、アイドルとかそんな感じか。美琴の趣味は読書で出歩くとしても買い物か図書館だから、電車や駅構内でポスターを見たわけじゃないだろうし、やっぱりテレビを見ていたら、って感じなのかな。


「ずっと眺めているだけだったんだけど……もう外で会うのは我慢できなくなって」


 外で会うということはライブとかかな。やっぱり、美琴の推しってアイドルか。もしかしたら、俳優かもしれない。


「それで家に連れ帰ることにしたの」

「え!?」

「え?」

「あ、うん、話、続けて……?」


 まさか、いつも大人しい美琴がアイドルを家に連れ込んだの!?

 芸能人と恋人同士になるなんて……。

 あっ、もしかしたら、芸能人が近くに住んでて、変装して図書館に通っていたところ、二人の恋が始まったとか。だとしたら、めちゃくちゃ青春を謳歌してるじゃん、美琴。友達として、美琴が幸せを謳歌してるなら、それだけで私も嬉しいわ~。


「毎日、ご飯を食べさせると美味しそうにするからとってもかわいくてね」

「ま、毎日……? 一緒に暮らしてるの?」

「うん、もちろん!」


 もう同棲までしているなんて……。美琴って恋をするとどんどん進んでいくタイプだった。でも同棲なんて、親がよく許したね。私達、まだ学生の身分なんだよ?


「ちゃんと満足してくれるように部屋も作ったの。たまに食べ物を貯めこむからその時は別の場所に移動させて逃げないようにしないといけないんだけど」

「美琴! あんたが幸せならなにも言わないでいようと思ってたけど! さすがに監禁はダメだと思うの!」

「え、監禁!?なんの話?」

「推し活の相手のことだよ! 人間を監禁したら犯罪だよ!?」

「推し活なら、うちのハムスターのことだけど……」

「……え?」

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