新聞の三面記事にすら取り上げられないありふれた日常の裏側に息づく医療従事者たちの苦闘が活写されたドキュメンタリー調の逸品。
普段のささやか節は抑えられ丁寧に描かれる医師と看護師のやりとり、救えなかった命が誰かを救い、しかしその手法は限りなく犯罪臭を漂わせている事実、苦悩と重圧がストレスを呼び自罰的に己れを殺す嗜好品を彼らが望んで求めるのはなんの因果か。
されど日常は続く、自身の魂が解放されるその日まで、医療従事者達は無数の死を乾いた涙で見送り幾つかの生をその手で取り返す、人は死ぬ、ならば医療とは決して報われぬ修羅の荒野か?