第32話時をかける にゃん太郎 ②

【にゃん太郎side】


 モチつけ………いや、落ち着け俺。

 いくら何でも皆がここまで、からかうなんてあるハズが無いから本当のことなのか?

 とりあえず情報が必要だな。 だから、あらためて皆に聞いてみたんだが………


 今の俺の名前は 『にゃんゴロー』と云うらしい。

 一応はボス猫らしいが 『たなぼた』でボスに成ったらしく、にゃん太郎の時と違い 皆からは尊敬より心配をされている『新米親分』なんだそうだ。

 ………と、云うのも俺の前のボス猫候補たちがボス猫の『座』を争って共倒れしたから、俺にボス猫の座が転がり込んだらしいのだ。


「あの闘いは凄かったわ!

 まさに、世紀のボス猫争いだった」


 ウッシー………ウッシッシの話に由ると、にゃん太郎の曾孫の『にゃんオウ』と同じく曾孫の『にゃんシロー』がボス猫の座を巡り壮絶な闘いをしたんだとか。

 結果、にゃんシローが勝ったものの大ケガをしてしまい、恋猫の『ユリにゃん』に付き添われて隠居してしまったそうだ。

 一方、にゃんオウも負けたのにボス猫に成るのは、良しとせずにボス猫に成るのを固持したんだそうだ。

 他にもボス猫候補の『サウにゃあー』が居たらしいのだが………


のタビ様とボンド様が、にゃんゴロー親分をボス猫に指名したからにゃんゴロー親分がボス猫に成れたんだよ」

 オコゲ……オハギが教えてくれた。


 お猫様?………いや、それよりもタビとボンドだって!

 やっと知っている猫の名前が出て来たよ。

 何年経っているか知らないが、まだアイツらが生きて居るなら、そんなに経って無いのかも知れないな。

 そうだ! アイツラに話を聞けば状況が、より解るかも知れないぞ、情報は大事だからな。


「なあ、ウッシッシ。 タビとボンドは、今でも大江戸さん家に住んで居るのかい?」

 俺が聞くと、何故か皆が怒りだした。


「失礼だよ、にゃんゴロー親分!

 タビ様とボンド様は、なんだよ!

 呼び付けで『様』を付け無いなんて、罰当たりだよ!」


「そんな大事な事まで忘れちまったのかい、にゃんゴロー親分!」

 ウッシッシとオハギに怒られたり心配されたりしてしまった。


「そもそも『お猫様』とは、何なんだよ?

 悪いが教えてくれるかい? 」

 俺は、素直に質問した。

『聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥』と、誰かが言っていたからな。


 そうすると、ウッシッシとオハギが代わる代わる教えてくれた。


 神様に使つかえるキツネが『お稲荷様』や『お狐様』と呼ばれるように、神様に使える『猫』は『お猫様』と云うらしいのだ。

 そして、大江戸さん家は『神々の住む家ゴッドハウス』と、呼ばれていて聖域に成っているんだとか………


 うん、これは やっぱり『夢』だな、夢!

 神様なんて、簡単に顕現けんげんする訳が無いもんな!

 夢から目を覚ますには………

 俺は壁に向かって頭をゴチゴチぶつけるが、ショックが弱いのか目が覚めないんだよな。


「なあ、コロッ………メンチカツ!

 記憶が戻るかも知れないから、俺にショックを与えてくれないかい?」

 俺が頼むと、メンチカツがニヤリと笑い


「お安いご用だ! …………絶・天猫抜刀牙ぁー! 」


 メンチカツが縦に回転しながら俺に向かって来ている。

 うん、やっぱり『夢』だな!


 ゴッチーン 💥


 強い衝撃で俺は気絶したようだ………った………のだ。

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