第29話ウチの猫の様子が可怪しい件について !《猫バージョン》 ④

【コロッケside】


 姉ちゃん、置いて行かれてしまった………後ろを振り返ると弟達が、此方こちらを見ていた………イカ~ン ! このままだと兄の威厳いげんが台無しに成ってしまう !


「 よっ ! ひまか弟達よ、俺が来たからには安心して良いぞ 」


 しかし、弟達の視線は冷たかった。


「兄さん、本当に僕達の兄さんなの ? 」


 弟の一人が聞いて来た。


「 おう ! 間違い無く俺がお前達の兄の『コロッケ』だよ。

 お前は『ゲンキ』か『イッポ』か、どちらなんだ ?」


「 イッポだよ、コロッケ兄さん」


「そうすると、もう一匹が ゲンキなんだな。

 二匹共、変な名前だなぁ~ (笑)」


「「兄さんだけには言われたく無いよ ! 」」


「 俺の名前の方が、カッコいいだろう 」


 俺達が兄弟のコミュニケーションを取っていると、さっき姉ちゃん洋子に丈二と呼ばれていたオッサンが近づいて来た。


「見れば見る程、ふてぶてしい面構えしているなぁ~コイツ。

 このジョー様が、しっかりきたえてダイエットさせてやるからな !」


ニャッへん!ニャッニャァニャァ~ン嫌なこった、捕まえるものなら捕まえてみな !


 俺が逃げ出そうとしたら、ジョーのオッサンに回り込まれた。


ニャアーやるな !ニャッニャッニャァ~ンニャァ~ンだが甘い、闘いは二手三手先を読むモノなんだよ ! ニャッニャッニャァ~ンあばよ、ジョーのオッサン !


 俺はフェイントを使ってジョーのオッサンをすり抜けようとしたが………


「おーおっと、見かけに依らずスバシッコイ奴だな !

 これは鍛えがいがあるな、気に入ったぞ コロッケ !」


 俺は、あっさり捕まってしまった………じたばたもがいたが無駄だったみたいだ。


 そんな俺を摘まみ上げたジョーが不敵に笑いながら、別の部屋へと連行しようとしている。

 その後をゲンキとイッポが追いて来た。

 ドアを開くと外に出たが、回りがビルに囲まれていた。


ニャァ~ンニャァ~ンここは、何処なんだよ、ゲンキにイッポ ?


ニャァ~ンニャァ~ンニャァ~ンウチの中庭だよ、コロッケ兄さん

 ニャァ~ンニャァ~ンニャァ~ンビルが『ロの字』に成っているから逃げられないよ !


 嘘だろ、ゲンキ………その嬉しそうな目は何なんだよ !


「ほ~れぇ~、ココはウチが副業でやっている『ドッグラン』だ !

 ココのワンコ達は猫が大好きだから遊んで貰いな ! 」


 そう言いながら犬達の中に放り込まれた俺は必死に逃げたが逃げ込める『木』や隠れる場所が無い為に全力で走って逃げる………が、犬達は遊んで貰っていると思うのか追いかけて来る。

 せめてもの救いは、大型犬は無くて小型犬が多く、中型犬は、コーギーが二匹しか居ない。

 ガンモの奴が大型犬のマリリンに追われているのに比べればマシな方か ?


 逃げ回っている俺をゲンキとイッポが楽しそうに見ていた………そのかたわらには、可愛い雌猫女の子が寄り添っている。


 ガンモと云い、ゲンキやイッポまで彼女が居るだと !

『兄』より優秀な『弟』など居ない と云うのは『うそ』だったのか !



 犬達に追いかけられる特訓は、コロッケが普通の体型に成るまで続けられるだろう。



ニャッニャァニャァ~ン 不幸だぁーーー !


 コロッケの悲鳴が虚しく響いたのだった。



 ───頑張れ、コロッケ。 ダイエットが成功したらモテモテに成るかも知れないぞ痩せてもモテモテに成るとは限らないけどね!───

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