第20話 にゃん太郎と愉快な仲間たち


俺の名前は にゃん太郎。 この地域のボス猫だ。


とうとう、オコゲに子猫が生まれた !


子猫の目も開き、オコゲからも許可が出たのでお披露目に成った。

生まれた子猫は 4匹、男の子が1匹と女の子が3匹だった。

確か、日本舞踊の先生の伊知川いちかわさんのカニゾウが相手だったよな。

道理どうりで子猫達が凛々りりしい訳だな !


「 もー ! もー ! もー ! 聞いてないわよ !

オコゲの相手が、お貴族様血統書付きのカニゾウさんなんて ! 私の相手が 『 竿竹屋さおだけやのコケル』なのにズルいわよ ! 」


ウッシーが怒っていた。

コケルだって『焼肉屋のラム 』や『 米屋のシノブ 』が争っていたハズだ。


「 コケルさんなら良いでしょう ! 彼のことだから、きちんと自分コケルの『 子 』だと認めてくれたんでしょう !

カニゾウさんなんて、知らないフリをしたのよ !

あんな雄猫ひとだなんて思わなかったわ ! 」


「 それ本当なの ? コケルだって私が妊娠したら他の雌猫たち女の子たちと浮気していたのよ ! 」


「「 本当に雄猫おとこって、最低だわ ! 」」


そろそろ怒りの矛先が此方こちらに向かう前に話題を変えるか。



「 それより 子猫達の名前は決まったのか ?

おっちゃんの事だから、もう名前を付けたんじゃないのか ? 」


ウッシーも気になっていたのか、


「 おっちゃんの事だから絶対に変な名前ね !

私が『 ウッシー 』で、貴女が『 オコゲ 』

私の子猫子どもが『 大福 』『 お餅 』『 白玉 』『 小判 』よ ! 」


………んっ ! 生まれたのは5匹だったよな ?


「 もう一匹は名前を付けて貰えなかったのか、ウッシー ? 」

俺が質問すると、


「 おっちゃんが名前を付ける前に貰われて行ったから知らないわよ ! もう少しマシな名前だと思うけどね 」


俺とウッシーがオコゲを見ると仕方なくといった感じで、


雌猫女の子たちは、この間 店に来た茶髪のモジャモジャ頭の人が引き取る事が決まっているようで、おっちゃんは名前を付けなかったわ。

何でも『《 猫カフェ 》のスタッフにする』と言っていたけど大丈夫かしら ? 」


「 それなら大丈夫だ ! コロッケの件で見に行ったが、店の雌猫女の子たちは 健康そうだったぞ 」


オコゲも俺の答えに安心したようだ。


雄猫男の子の名前は何て云うのよ ?

おっちゃんが名前を付けたんでしょう ! 」


「 …………『 ボンド 』よ 」


「「 ボンド………? 」」


「 『 タキシードを着ているみたいだから 』と、おっちゃんは言っていたけど………意味がわからないから怒って良いのかもわからないわ 」


俺達が考えていたら、それまで静観を決めていたユウイチロウが話し始めた。


「 フム、それは英国のスパイの名前だね。

ウチで、ご主人がテレビ映画を見ていたから知っているよ。

ご主人や奥様が『 ジェームス=ボンド 』のファンで良くスパイ映画を見ているんだよ 」


「 異議ありよ !贔屓ひいきだわ、贔屓 !

もー ! もー ! もー ! この怒り どうしてくれようかしら !」


そんな時にコロッケがご機嫌な様子でやって来た。


「 ユウイチロウ、ありがとう ! ユウイチロウの『 ヒカルゲンジ計画 』が上手くいって、『タビ』と仲良く成れそうだよ ♬ 」


「 シャァー !(怒) ヘラヘラしているんじゃないわよ ! 」


ウッシーがコロッケに八つ当たりしていた。


「 ウギャァァァァ、 誰か助けてくれぇーーー ! 」


「 ガンモさ~ん、マリリンから何故 逃げるんですかぁー ! 」


大きな犬に追われたガンモが此方こちらに逃げて来る !


此方こっちに来ないでよ ! 私の子猫子どもたちが居るんだからね ! 」


オコゲがガンモを 猫パンチで張り倒していた。


「 礼は言わないわよ ! さあ、ガンモさん……彼方あちらで『 愛 』をはぐくみましょう ❤️ 」


そう言ってガンモをくわえて引き返して行った。




俺の名前は にゃん太郎。 愉快な仲間を持つボス猫だ !

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