にゃん太郎の憂鬱《ゆううつ》

るしあん @猫部

🙀😼😾😿😻😽😹😸😺🐱

第1話 にゃん太郎の憂鬱《ゆううつ》 ①

誰が名付けたかおっちゃん なんだが

俺の名前は『 にゃん太郎 』


この地域の縄張りの『ボス猫』だ !


猫によっては『 にゃん太郎親分』と呼ばれている。


親分の仕事は、大変なんだぜ !


縄張りのパトロールから野良猫同士の喧嘩けんか仲裁ちゅうさい、その他にも『 エサを貰える家』の斡旋 あっせんまで 多岐たきに渡るんだよ。


なのに若いらは

「 にゃん太郎親分は、気楽で良いなぁ~ 」

なんて、言うんだぜ !

まったく、親分の苦労を知って欲しいもんだよな~


そんな事を考えていたら、半野良猫の『メンマ』が あわててやってきた。

半野良猫と云うのは、御飯だけ貰って外飼いされている『猫』の事を云うんだぜ、勉強になっただろう。


ラーメン屋の『 メンマ 』が言うには


「 にゃん太郎親分、大変なんだニャ !

親からハグレタ子猫が、米屋の屋根から降りれなくて助けを呼んでいるんだニャ !

親分、頼むから助けて欲しいんだニャ ! 」


本当は『 メンマ 』が助ければ、早いんだが…………

コイツメンマは、ラーメン屋から貰う『 チャーシューの切り落とし』などを食べているから太り過ぎているんだ。


知らない人間が見たら絶対に『野良猫』だなんて思わないだろうな !


普段からきたえている俺が助けなければ成らないから、メンマに案内させた。




米屋に来てみると………うん、メンマには無理だな。

屋根は屋根でも、半分腐蝕ふしょくした車庫の屋根だった。

メンマが乗れば、確実に屋根がけるな。


「 ニャア ニャア ニャア ニャア(ママ ママ ママ 何処どこにいるのぉ~ 怖いよ~ 高いよ~ お腹が減ったよ~ )」


商店街の人間達も気付き始めたから、俺は直ぐに助けに行った。


華麗に子猫を咥えて降りてきた俺を人間達が褒め称えている。


「 流石、ボス猫だねぇ~ 」


「 にゃん太郎、偉いぞ ! 」


「 にゃん太郎、カッコいい ! 」


褒めろ 褒めろ いつの間にか『にゃん太郎』と云う名前が浸透しんとうしているが、全部 おっちゃんのせいだ !

俺を見かける たび


「 にゃん太郎、元気か ?」


「 にゃん太郎、最近 店に来ないけど腹は減っていないのか ?」


「 にゃん太郎」「にゃん太郎」「にゃん太郎」「にゃん太郎」


他の人間も聞いていたせいか、今では すっかり『にゃん太郎』で定着してしまった。


とりあえず、腹を空かしているようだし おっちゃんの所にでも行くか !


「『 ウッシー』から母乳を分けて貰うように頼むから

それまで我慢してくれよ、坊っちゃん……嬢ちゃん ? 」


ママ ママ ママ と泣いている子猫を おっちゃんの居る店に連れて行った。



「 ニャオ~ン ニャオ~ン ニャオ~ン ニャオ~ン

( おっちゃん、助けてくれ ! とりあえず子猫に(ウッシーの)ミルクをやってくれ )」


おっちゃんが、気付いて直ぐに出て来てくれた。


「なんだ なんだ にゃん太郎 !

今度は、子猫か ?………ほどほどにしてくれよ~ 」


「 ニャオ~ン ニャオ~ン ニャオ~ン ニャオ~ン

( それより、おっちゃん ! 子猫にミルクをやってくれよ)


ウッシーの奴も気が付いて出て来てくれた。


「 にゃん太郎親分、その子猫は どうしたんだニャ ?」


「 訳は後で話すから、子猫にミルクをやってくれよ !」


「はい はい にゃん太郎親分には、世話になったから それくらい御安い御用だよ 」


そう言って、ウッシーが子猫にミルクを与えてくれた。


腹が減っていたからか、一生懸命にミルクを飲んでいる。



「 おお ! ウッシーも にゃん太郎も偉いぞ ………

この子猫の毛並みは、薄い茶色だなぁ~ ……

よし ! この子猫の名前は『 ココア 』だな ! 」


おっちゃんにしては、意外とマトモな名前だな………と思っていたら……………




「 ニャア ニャア ニャア ニャア ニャア ニャア ニャア

( もー ! もー ! もー ! 私が『ウッシー』で、この子猫が『 ココア 』だなんて 差別だわ !」


抗議している ウッシーに対して、おっちゃんは


「 ハハハハ、 ウッシーも賛成してくれているのかな

俺は名前を付けるのは、得意なんだよ 」



「 ニャア ニャア ニャア ニャア ニャア ニャア !

( もー ! もー ! もー ! どうして、そんなに都合良く解釈出来るのよぉー ! )



どうやら、ウッシーも大変みたいだなぁ~


任務を完了した俺は、日向ぼっこをする為に移動するのであった。

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