厄介な初恋の君
初めて会った5歳の頃、あまりにも可愛くて一目惚れした。
すぐに男だと分かり幼馴染として幾数年…学ランを着た彼は、やっぱりあまりにも可愛かった。
男、だよな。
男だよ。一緒にお風呂にも入っただろう。
先日、後輩に告白されたが、脳裏にこいつが過って断ってしまった。
初恋は厄介なのだ。
***
初めて会ったのは5歳の頃。塀にできた穴を通って自宅の庭に侵入して来た同い年のこいつは、あまりにも可愛くて一目惚れした。当時の俺は、彼を女の子だと思っていたのだ。
まあ、すぐに男だと分かったので初恋は玉砕した。だが、それからしょっちゅう塀の穴から不法侵入して来たので、しょっちゅう顔を合わせることになった。
所謂、幼馴染として幾数年経った。中学生になり、俺も彼も学ランを着ていた。なのに、学ランを着た彼はやっぱりあまりにも可愛かった。
男子にしては可愛く、女子にしては凛々しい。線の細い美少年だと、上級生の女子の間で人気になっているらしい。
「男、だよな」
「男だよ。一緒にお風呂にも入っただろう」
中途半端に声変わりをしてしまったハスキーボイスで更に脳がバグる。
幼馴染が男で、同性であることは、5歳の頃から嫌というほど知っている。一緒に風呂も入ったし、トレイにも一緒に入ったことがある。
「そうだ! 聞いたよ、この間、後輩の女子に告白されたの断ったって。何で? 可愛い子だったのに」
「いや……タイプじゃ、なかったから」
先日、後輩の女子に告白されたが、脳裏にこいつが過って断ってしまった。
彼女と付き合うことになれば、彼と登下校できなくなるし、放課後にお互いの家を行き来する時間がなくなる。頻繁に泊まりに行くこともできなくなるし、休日に遊びに行く時間だって……嗚呼、初恋は厄介だ。
玉砕などしていなかった。あれから、大事に大事に磨かれて、俺の中でこじれている。
「まさか、他に好きな子がいるのか?」
「え?」
「みんな言ってたんだよ。お前には、嫁がいるって。誰だよ?!」
「……誰だそれ?」
後で知ったが、彼は周囲から俺の嫁扱いされているらしい。
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