残した食物はナニかに捧げられたものらしい
祖母も母もいつも少量だけ食べ物を残す。
茶碗のご飯、ペットボトルの飲み物。一口だけを残して放置…何度も止めてと言っているのに決して止めない。
理由を聞いても黙っている。時間が経ったそれをいつも私が捨てる。
嗚呼、腹が立つ。
お腹空いた。お腹空いた…捨てる度に不気味な声が背後から聞こえる。
***
「お母さん! 止めてって言っているでしょう!」
冷蔵庫の中にある500mlのペットボトルの中に、2cmにも満たない少量のお茶が残っている。もう3日経つ、3日前からペットボトルの中身は減りもしないし増えもしない。
母の飲み残しだ。いつもいつも、飲まないなら捨ててと言っているのに止めてくれない。
祖母も母もいつも少量だけ食べ物を残す。
茶碗のご飯、ペットボトルの飲み物、小分けにされたお菓子でさえ、一口だけを残して放置する。食べもしない、棄てもしない。何度も止めてと言っているのに、決して止めない。
「どうしてこんなことするのよ?」
祖母も母も、何故こんなことをするのか理由を聞いても黙っている。
時間が経ったそれをいつも私が捨てる。
嗚呼、腹が立つ。
お腹空いた。
カピカピに乾いたお米を生ゴミに捨てる。
お腹空いた。
滓のような物が浮き始めたお茶を排水溝に捨てる。
お腹空いた……。
カビが生えたお菓子をゴミ箱に捨てた。捨てる度に不気味な声が背後から聞こえる。
この食べ物は、一体誰にあげたの?
この家には、ナニがいるの……?
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