若年性認知症を疑えばいいのだろうか

 手に職があって安定した収入があって、暴力と賭け事・借金は絶対に駄目よ。結婚ならこれが最低条件ね。誰か良い人いないの? アンタもうすぐ30よ。

 相変わらず母は簡単に言いやがる。最近の口癖は「孫欲しい」だ。

 職場に独身男性はいないの? お店に来るお客さんは?

 私の職場がパチスロだと忘れたのか。


***


 最近、母は顔を合わせれば同じことしか言わない。

 早い話が、「結婚して孫の顔を見せろ」だ。


「手に職があって安定した収入があって、暴力と賭け事・借金は絶対に駄目よ結婚ならこれが最低条件ね。誰か良い人いないの? アンタもうすぐ30よ」


 相変わらず母は簡単に言いやがる。最近の口癖は「孫欲しい」だ。

 特に、「孫欲しい」の圧がどん引きレベルだ。結婚しなくてもいいから、孫だけは産みなさいよ。家族みんなで育てましょう!とか、モラハラ一歩手前発言を無邪気に口にする。

 言い方が、小学生が「犬飼いたい! ちゃんとお世話するから!」と主張しているのと同じだ。


「職場に独身男性はいないの?」

「いても一回り以上年上の人ばっかりだよ」

「40過ぎて独身って、絶対に問題ある人じゃない! 駄目駄目、駄目よ! 絶対に駄目! お店に来るお客さんは?」


 さっき言ったよな、賭け事は絶対に駄目と。

 私の職場がパチスロだと忘れたのか。


「……私の職場のお客さん、パチンコをしに来る人しかいないけど」

「賭け事は駄目よ! 駄目駄目! 絶対に駄目! 職場に独身男性はいないの?」

「……ねえ、さっき言ったこと覚えてないの?」

「何のこと? それより、アンタもうすぐ30よ。早く結婚して、若い内に出産しておいた方が……」


 明日、役所の福祉課に相談に行こう。

 私はもうすぐ30だが、母はもう60を過ぎている。

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