体力的にもう1人イケそうなので考えておく(↑の別視点)

 体調が思わしくない。

 身体だけは丈夫だと思っていたが、加齢には勝てないか。

 心配する夫の勧めで病院へ行くと、久しく縁がなかった産科医からの「おめでとうございます」発言…マジか4人目か。閉経じゃなかったのか。

 逆算してみると、単身赴任中だった夫が一時帰宅した頃とピッタリ重なっていた。


***


 結婚14年目。双子の長女と次女は中学2年生、長男は小学6年生。

 長男が10歳になった年に、「そろそろ子供に手がかからなくなっただろう」と、夫は県外への出向を命じられた。仕事に優秀で歳を重ねてしまえば仕方のない出世コースだ。行ってこい、こっちは任せろと送り出した。

 夫は年に何度かの一時帰宅して、子供たちの行事や面談にも参加してくれた。実は寂しがり屋なので、何かと理由を付けて家族に会いに来ているのは知っている。それももう終わり。単身赴任が終わって家族5人暮らしが再開した。

 が、私の体調が思わしくない。身体だけは丈夫だと思っていたが、加齢には勝てないか。気付いたらもう四十代だ。

 心配する夫の勧めで病院へ行くと、内科の診察の後に産婦人科へと案内された。そして、産科医からの「おめでとうございます」発言……マジか4人目か。


「閉経じゃなかったのか」

「ちょっと年齢的に早いですよ。しかし、年齢的に高齢出産となりますが」

「産みます」

「決断早いですね。まあ、年齢の割にはすこぶる健康体ですし、多分数年以内だったら体力的にはもう1人イケます」

「産みます」

「本当に決断早いな、この人」


 医師から診断書を貰い、役所で母子手帳の申請をしなければ。


「高齢出産することになった」

『……え?』

「11週目だった。あの時だ」


 逆算してみると、単身赴任中だった夫が一時帰宅した頃とピッタリ重なっていた。

 マジだわーあの時だわー。


『具合が悪いならすぐに帰って寝ていろ。何か欲しい物はあるか? レモンゼリーを買っていくか?』

「お願い」

『とにかく……4人目、ありがとうございます』

「こちらこそ。がんばらせていただきます。それと……」


 5人目とか、考えてます?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る